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Intellectual Property Newsletter

標準必須特許(SEP)の近時の動向

Ⅰ. はじめに

標準必須特許(Standard Essential Patent)(以下「SEP」といいます。)とは、技術標準の規格に準拠した製品を製造するためにその発明を実施することが必須とされる特許であり、標準化団体(Standard Setting Organization)(以下「SSO」といいます。)が定める所定の手続(いわゆるFRAND宣言等)を経たものをいいます。

近年、SEPに関する議論は国際的に一段と活発化しています。その背景には、技術革新の加速により技術標準の更新サイクルが短縮化していることや、いわゆるモノのインターネット(以下「IoT」といいます。)の進行により、SEPの実施を必要とする事業者が情報通信分野内にとどまらず自動車業界など通信技術を利用する異業種に拡大し、これらの事業者との間のSEPに関するライセンス交渉や訴訟の増加があると考えられます。各国での政策文書や判例の動きが相互に影響し合う中、企業のグローバル戦略におけるSEP対応の重要性は高まる一方です。

我が国では、知的財産高等裁判所によるアップル対サムスン事件判決(平成26年5月16日)以降、SEPのライセンス交渉における誠実交渉義務が正面から論じられた裁判例はしばらく現れていませんでした。しかし2025年に入って国内でもSEPに関する判決が2つ続けて示され、実務上注目されています。

本稿では、まずSEPをめぐる紛争の特殊性を簡単に紹介した上で、近時の我が国におけるSEP紛争の事例を整理し、あわせて海外のSEPに関連する主要な動向も概観します。

Ⅱ. SEP紛争の特殊性

SEPは上記のとおり特定の技術標準の実施に必須とされ、SSOの定めるルールに従うことになるため、特許法の一般原則とは異なる特殊性を有しています。すなわち、特許権者は、特許に係る発明の実施を独占しており、第三者にライセンスするかどうか自由に決定することができるのが原則ですが、SEPの場合、「公平、合理的、かつ差別的でない(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory、以下「FRAND」といいます。)」条件で誰に対してもライセンスを付与する義務を負うのが通常です。そのため当事者がFRAND条件による交渉を誠実に尽くしたかどうか交渉のプロセスが重要な争点となり、実施者がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有して誠実に交渉を試みたにもかかわらずSEPのFRAND条件に反してライセンスを付与しなかった場合、差止請求権が制限されることになります。

これに加え、FRAND条件の具体化に当たっては、非差別性や合理性をどのように担保するか、すなわちロイヤリティ水準・算定基礎・ポートフォリオの扱い等(ライセンス条件)についての評価が問題となります。さらに、SEPであっても、当該特許発明が技術標準の実施に必須か(標準必須性)についても重要な争点となります。

1. 権利者・実施者間の誠実交渉義務

上記のとおりSEPの権利者は、一般にFRAND条件でライセンスをする義務を負っており、各国の判例においても、権利者による差止請求権が制限されています。我が国では、前掲アップル対サムスン事件の知財高裁判決において、FRAND宣言によりSEPの権利者は実施者に対し、民法上の信義則に基づきライセンス契約の締結に向けた誠実交渉義務を負うことになるとの見解が示され、FRAND条件によるライセンス契約を締結する意思のある者に対する差止請求権の行使は、権利の濫用に該当し許されないとされています。

誠実交渉義務に関しては、各国において裁判例が蓄積され、ガイドライン等が整備されている国もあります。我が国では、2018年6月に、特許庁が、SEPのライセンス交渉に関する透明性と予見可能性を高め、特許権者と実施者との間の交渉を円滑化し、紛争を未然に防止し、あるいは早期に解決することを目的として「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を公表し、2022年6月にその改訂版となる第2版1を公表しました。また、2022年3月に、経済産業省が、ライセンス交渉の透明性・予見可能性の向上を通じて適正な取引環境を実現するため、我が国として、国内特許を含むSEPのライセンス交渉に携わる権利者及び実施者が則るべき誠実交渉の規範を示すことを目的として「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」2を公表しています。いずれも法的拘束力はありませんが、特許庁の「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き(第2版)」は国内外の裁判例や競争当局の判断、ライセンス実務などの動向を踏まえ、ライセンス交渉を巡る論点を客観的に整理したものであるのに対し、経済産業省の「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」は特許権者及び実施者が則るべき、日本としての誠実交渉の規範を示すものと位置づけられています。

2. 合理的なロイヤリティの算定

SEPのライセンス交渉では、合理的で非差別的なロイヤリティについて確立された判断基準がないため、適切なFRAND条件のロイヤリティについて当事者間でしばしば対立が生じます。

我が国では、IoTの拡大により自動車等の多部品で構成される製品にSEPのライセンス交渉が広がり、階層的サプライチェーンでのロイヤリティ設計が難化していることを背景に、2020年4月に、経済産業省が、「マルチコンポーネント製品に係る標準必須特許のフェアバリューの算定に関する考え方」3を公表しました。また、上記1.で紹介した特許庁の「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き(第2版)」では、標準的な実務慣行や過去の裁判例で示された枠組みに基づいたロイヤルティの算定方法が示されています。

3. 標準必須性

前述の誠実交渉義務は、対象となる特許がSEPであることが前提とされているため、そもそも標準必須性があるかどうかが本来的には議論の出発点になります。しかしながら、SEPのライセンス交渉において、当事者間で、当該特許が標準に「技術的に必須」か否かの見解が相違すると、交渉停滞につながります。

我が国では、この課題に対応するため、特許庁が特許法71条を根拠とする判定制度を活用して必須性に関する公的見解を示す枠組みを整備し、2018年4月から運用を開始するとともに、同判定制度を利用する実務家のために「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」を公表しました。そして、特許庁は2019年6月に手引きを改訂し4、同年7月1日以降の請求に改定後の新運用を適用しています。

同運用の最大の特徴は、実物の実施品ではなく標準規格文書の不可欠構成のみから特定した「仮想イ号」を用い、その仮想イ号が特許発明の技術的範囲に属するかを審理する点です。属すると判断された場合、判定書の理由中で当該特許が当該標準に技術的に必須である旨に言及されることになります。

Ⅲ. 国内における近時のSEP紛争に関する事例

上記Ⅰ.で述べたとおり、我が国では、アップル対サムスン事件以来、10年以上、SEP紛争に関する主要な裁判例は現れませんでしたが、2025年に入り、Pantech Corporation(以下「Pantech」といいます。)を原告とするSEPをめぐる2つの事件で立て続けに誠実交渉義務に関連する判決が下されました。

1. Pantech対Asus Japan事件(東京地判令和7年4月10日)

本件は、韓国企業であるPantechが、台湾企業であるASUSの日本法人であるASUS JAPAN株式会社(以下「ASUS」といいます。)に対し、ASUSの輸入・販売等するスマートフォン等(以下「ASUS製品」といいます。)がPantechの保有するLTE関連の標準必須特許(以下「Pantech特許」といいます。)を侵害するとして、ASUS製品の輸入・販売等の差止め、廃棄、損害賠償を求めた事案です。本件の争点は、ASUS製品の構成要件充足性、Pantech特許の有効性、FRAND条件によるライセンスを受ける意思の有無、及び損害額の算定等、多岐にわたりますが、裁判所は、ASUS製品が、Pantech特許の各構成要件をいずれも充足し、その他無効理由もないことを理由に、特許侵害を認め、ASUSに損害賠償を命じる判決を下しました。他方で、裁判所は、SEPの権利者が当該SEPの実施者に対し差止請求をすることは、当該実施者がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情がない限り、権利の濫用として許されないという前掲アップル対サムスン事件における判断枠組みを踏襲した上で、ASUS台湾がライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情は認められないとしてPantechによる差止請求を排斥し、またFRAND条件によるライセンスに係る実施料相当額を超える損害賠償請求も認めませんでした。

本件では、ASUS台湾及びASUSがPantechからFRAND条件によるライセンスを受ける意思があるかを確認された際にその意思があることを明確に表明していることや、ASUSがPantechとの秘密保持契約の締結後直ちにクレームチャート等の提示を求め、充足性や有効性について意見を述べていること、Pantechから具体的なライセンス条件の計算根拠を示された後直ちに意見を述べ、約3か月後に対案を提示していることなどを認定し、Pantechとの交渉に対しできる限りの対応をしていたと評価されたことが注目されます。実務においても、交渉プロセスをなるべく詳細に記録することの重要性、またSEPのライセンス交渉における「FRAND条件によるライセンスを受ける意思」の有無の具体的な考慮要素を示した裁判例として参考になるものといえます。また、本件ではPantechとASUSとの間でFRAND料率に係る合意に至らなかった原因を、世界の主要国においてはFRAND料率の算定方法に関する裁判例が時代の変化に応じて国際的に展開する一方、日本においては、アップル対サムスン事件以降約10年間にわたり、国際的な上記展開を踏まえた裁判例がなく、FRAND料率の算定方法が必ずしも日本の実務に定着していないことにあるとしており、我が国における実務展開の遅れを、実施者側がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有していないとの主張を否定する方向で考慮している点も注目されます。

なお、Pantechは、本件以外にもASUSに対し、Pantechの保有する別の特許の侵害を理由に差止請求等を提起していましたが、同事件では、対象となる特許の標準必須性が認められず、ASUSによるPantechの特許の侵害が認められないとしてPantechの請求は棄却されています(東京地判令和6年1月29日令和4年(ワ)第18332号事件)。

2. Pantech対Google事件(東京地判令和7年6月23日、大阪地判令和7年7月10日)

東京地裁令和7年6月23日判決は、Pantechが、Google LLCの日本法人であるグーグル合同会社(以下「Google」といいます。)に対し、Googleの販売するスマートフォン(以下「Google製品」といいます。)がPantechの保有するLTE関連の標準必須特許を侵害するとして、Google製品の譲渡等の差止めを請求した事案です。本稿の執筆時点で本件の判決は公表されていないため、具体的な事実経緯や裁判所の判断の詳細は不明な点もありますが、結論として、裁判所は本件では2025年6月23日に東京地裁がGoogleに対してPixel 7の販売差止めを命じました。裁判所が前掲アップル対サムスン事件における損害額の算定方法に従い、被告に必要な情報の開示を求めたのにもかかわらず、非協力的であったことが問題視されたようです。

他方で、同年7月10日に、同じくPantechを原告とし、Googleを被告とする特許権侵害訴訟(ただし、イ号製品は異なるようです。)の判決が大阪地方裁判所で下されましたが、上記東京地裁判決とは異なり、Pantechの請求は棄却される結果となりました。同事件についても現時点までに判決文は公表されていないため、具体的な判決内容等は不明ですが、いずれにしても同じ当事者に関して立て続けに下され、結論も異なるこれら2件は、わが国におけるSEP交渉の実務に影響を与え得るため、判決の内容や今後の帰趨を注視する必要があります。

Ⅳ. 海外における近時のSEPに関連する動向

1. 欧州

(1)SEP規則案の発表と撤回
欧州では、FRAND宣言がなされたSEPのライセンス交渉に関し、交渉ステップごとの誠実交渉義務の要件を具体的に明らかにした2016年の欧州司法裁判所のHuawei対ZTE事件判決が重要な先例となっています。しかし、Huawei対ZTE事件判決以降も、欧州各国の裁判所では、同事件とは異なるアプローチによりFRAND義務に関する判断が下されることもあり、透明性や予測可能性が失われ、訴訟や紛争が長期化する傾向にあります。欧州委員会はこのような問題を解決し、SEPの権利者・実施者双方のインセンティブを高め、グローバル市場での競争力を確保するため、2023年4月にSEPに関する規則案(Proposal for a REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on standard essential patents and amending Regulation (EU)2017/1001、以下「SEP規則案」といいます。)5を発表しました。SEP規則案は、EUIPO(欧州連合知的財産庁)内に「コンピテンスセンター」を設置し、SEPの必須性査定、登録、累積ロイヤルティの算定、FRAND条件の裁定などを一元的に管理することを制度の中核としていますが、これに対し、特許分野の経験に乏しいEUIPOをFRAND裁定の中核に据えることやFRAND裁定中のSEPの権利者による欧州裁判所への提訴機会を否定することに対する反対意見等、欧州域内外から多くの反対意見が寄せられました。このような反発を受けて、欧州委員会は、2025年2月12日、「2025年作業計画(Commission work programme 2025)」6においてSEP規則案の撤回の意向を表明し、同年7月に正式に撤回しました7

(2)Panasonic対OPPO事件8
2024年11月22日、欧州統一特許裁判所(以下「UPC」といいます。)マンハイム地方部が、SEPに基づく特許侵害訴訟において初の差止判決を下しました。本件は、パナソニック ホールディングス株式会社(以下「Panasonic」といいます。)が、広東OPPO移動通信有限公司(以下「OPPO」といいます。)に対し、Panasonicが保有する4G通信規格に関するSEPに基づき特許侵害を理由に損害賠償及び製品の販売差止等を求めた事案です。Panasonicは、各国の裁判所でOPPOに対する特許侵害訴訟を複数提起していましたが、最終的には2025年1月にPanasonic・OPPO間でグローバルなクロスライセンス契約を締結し、Panasonicが訴訟を取り下げたことによりグローバルでの解決が図られました。本件は、Huawei対ZTE判決で示されたFRANDの誠実交渉のフレームワークを詳細に分析した上で具体的な解釈を示した点でも注目に値します。

(3)Huawei対Netgear事件9
Panasonic対OPPO事件に続き、2024年12月18日、UPCミュンヘン地方部が、EU7か国において、SEPに基づく2件目の差止命令を発しました。本件は、HuaweiのNetgearに対するHuaweiが保有するWi-Fi6規格に関連するSEPに基づく特許侵害訴訟であり、UPCは、前掲Panasonic対OPPO事件におけるUPCマンハイム地方部判決のFRAND交渉に関するフレームワークの解釈を採用し、NetgearによるHuaweiのSEP侵害を認定しました。また、同判決は、差止めではなくFRAND料率の決定をFRAND紛争の解決手段とする近時の英国裁判所の傾向を批判している点でも注目されます。

2. 米国

(1)Ericsson対Lenovo事件10
本件は、5G無線通信標準に関連するSEPsのライセンス交渉をめぐり、EricssonとLenovoの間で生じた国際的紛争です。両社は欧州電気通信標準化機構(以下「ETSI」といいます。)のメンバーとして、FRAND宣言(FRANDコミットメント)を行っていましたが、長期にわたり続いたグローバルなクロスライセンス交渉は合意に至らず、最終的に米国、英国、コロンビア、ブラジルで並行して訴訟が係属する事態となりました。Ericssonがコロンビアとブラジルにおいて差止命令を取得するに至ったことから、Lenovoは、連邦地方裁判所に対し、Ericssonが取得した外国差止命令の執行禁止を求めるantisuit injunction(以下「ASI」といいます。)を申し立て、第一審がこれを却下したため、Lenovoが米国連邦巡回控訴裁判所(以下「CAFC」といいます。)に控訴しました。

CAFCは、2024年10月24日、ASIを却下した連邦地方裁判所の決定を破棄し、差し戻しました11。CAFCは、Microsoft対Motorola事件12の枠組みを踏まえ、ASIの「dispositive」要件について、米国訴訟が外国訴訟全体を解決する必要はなく、少なくとも外国差止命令の適法性を決定できれば足りると判示しました。そして、FRANDコミットメントの解釈上、SEPの権利者は誠実交渉義務を果たす前に差止命令を求めることはできず、この義務の履行は米国訴訟の中心的争点であることから、ASIの「dispositive」要件を充足すると判断し、残るASIの要件については地裁に審理を差し戻しました。

本件は、FRAND義務と国際的な差止命令の関係について、米国訴訟が外国での差止命令の適法性を決定し得る場合にはASIの要件を満たすと判示した重要な事例であり、国際的なSEP紛争に大きな影響を与える判断といえます。

3. 中国

(1)標準必須特許独占禁止ガイドラインの公布・施行
中国では、2024年11月4日、中国国家市場監督管理総局によって「⁠標準必須特許独占禁止ガイドライン⁠」13(⁠以下「⁠独占禁止ガイドライン⁠」といいます⁠。⁠)が公布⁠・施行されました⁠。⁠独占禁止ガイドラインは、SEPの濫用による競争排除・制限行為を予防・抑制し、市場の公正な競争を保護し、イノベーションを促進し、経済運営の効率性を高め、消費者利益及び社会公共利益を維持することを目的としており、当局が、標準化団体、パテントプール、SEPの権利者、実施者等から報告を受けて、競争排除・制限のおそれや独占的行為の疑いがある場合には、注意喚起、事情聴取・是正、改善措置の要求等を行うことができるとしています。

独占禁止ガイドラインでは、第2章において、SEPの権利者によるSEPに関連する情報の適時かつ十分な開示、公正・合理的・非差別的なライセンスの承諾、誠実なライセンス交渉がSEPの権利者を対象とする良好な慣行として奨励されるとともに、第3章以下において、独占禁止法や「市場支配的地位の乱用行為の禁止規定」、「知的財産権の濫用による競争行為の排除、制限禁止規定」等の関連規定が適用されることに言及し、SEPに関する独占合意、市場支配的地位の濫用行為、事業者の集中における考慮要素などが説明されています。

(2)Act対OPPO事件
2023年12月12日、最高人民法院が、FRAND(公正・合理的・非差別的)ライセンス料の在り方を示すものとして注目される判断を下しました。本件は、米国企業Advanced Codec Technologies(以下「ACT」といいます。)が、OPPOに対し、同社がAMR-WB音声技術に関する特許ライセンス交渉を故意に遅延させたとして3億4,200万元の損害賠償を求めた事案です14

ACTの請求に対し、OPPOは、ACTがFRAND義務に違反したとして反訴を提起しましたが、南京市中級人民法院の一審判決では、特許の標準必須性と実施を認定した上で、「比較可能な契約方式」を用いて料率を算定し、双方に過失があるとし、過失割合を50%ずつと判断しました。

これに対し、最高人民法院は2023年12月12日に二審判決を下し、ライセンス料率決定の枠組みを一層明確化しました。具体的には、「比較可能な契約方式」を選択する際の考慮要素を整理するとともに、過失判断の要素(通知や交渉の誠実性、合理的期間内の対応、情報開示の有無等)を明確化しました。その結果、ACTが主張した料率の約22分の1にあたる0.008米ドルが妥当とされ、最終的な賠償額は1,539万527元に大幅減額されました。

本件は最高人民法院が初めてFRANDライセンス料を具体的に確定した事例であり、今後のSEP紛争における実務基準を示した重要な判決といえます。

  1. https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/rev-seps-tebiki/guide-seps-ja.pdf
  2. https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/sep_license/good-faith-negotiation-guidelines-for-SEPlicenses-ja.pdf
  3. https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/39-shiryou/06.pdf
  4. https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/document/hyojun_hissu_201906/01.pdf
  5. https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A52023PC0232
  6. https://commission.europa.eu/strategy-and-policy/strategy-documents/commission-work-programme/commission-work-programme-2025_en
  7. https://www.euronews.com/next/2025/07/31/eu-commission-confirms-ditching-of-ai-liability-and-patents-proposals
  8. Panasonic Holdings Corporation v. Guangdong OPPO Mobile Telecommunications Corp. Ltd., et al, UPC, Court of First Instance, Mannheim Local Division, UPC CFI 210/2023
  9. Huawei Technologies Co. Ltd. v Netgear, Inc. et al, UPC, Court of First Instance, Munich Local Division, UPC CFI 9/2023
  10. Telefonaktiebolaget LM Ericsson, et al. v. Lenovo (United States), Inc., Case No. 24-1515 (Fed. Cir. Oct. 24, 2024)
  11. https://www.cafc.uscourts.gov/opinions-orders/24-1515.OPINION.10-24-2024_2408080.pdf
  12. Microsoft Corp. v. Motorola, Inc., 696 F.3d 872 (9th Cir. 2012)
  13. https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202411/content_6985623.htm
  14. 特許ニュースNo.16221「ACTがOPPOを訴えた標準必須特許実施料紛争事件の最高人民法院判決について<上>」(2024年9月11日)

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