Ⅰ. はじめに
自動運転は実証から事業化への移行期にあり、自動運転社会の実現のために様々な制度整備が行われています。直近では、国土交通省において、自動運転社会実現本部が立ち上げられ、自動運転社会の早期実現に向けた取組や社会変容への対応について検討が行われています。また、デジタル庁においてモビリティ・ロードマップ2026の策定に向けて検討が進められています。
Ⅱ. 自動運転社会実現本部
国土交通省では、2026年1月22日に、国土交通省自動運転社会実現本部(以下「本部」といいます。)の第1回が開催されました(国土交通省Webサイト「第1回 国土交通省自動運転社会実現本部を開催します!~自動運転バス・トラックの視察を同時実施~」「国土交通省自動運転社会実現本部」)。自動運転技術の急速な進化に伴い、社会構造や人々の暮らし・生活が大きく変わると予想されるところ、本部は、自動運転社会の早期実現に向けた取組を強力に推進するとともに、自動運転の普及に伴う社会変容への対応について検討を行うために設置されました。本部は、国土交通大臣が本部長となり、物流・自動車局長や道路局長に加えて、国土交通省の各局局長、観光庁長官、運輸安全委員会事務局長らが本部員となり、幅広い事項を全省的に検討できる体制となっています。本部の下には、本部員の属する部局の職員から構成する幹事会に加えて、実務的な見地から効率的に検討を行うため、関係各局からなる自動運転社会の近未来像検討ワーキンググループが設置されています(本部 資料1「国土交通省自動運転社会実現本部の設置について(案)」)。
本部の第1回では、自動運転を巡る動きが議論されました。自動運転技術の進展状況について、商用車では特定のルート・地域に限定し、「無人」自動運転の実現を目指し実証を行い、自家用車ではルート・地域を限定せず段階的に自動運転技術を高度化するという2つのアプローチによって自動運転社会の実現に向かうことが想定されていました。近年、AIに路上走行させて、運転を自己学習させる手法(AIベース)での開発が急速に進んでいることから、同技術の活用により自動運転車の高度化・社会実装が急速に進み、自動運転社会の実現に向かう第3のアプローチにより自動運転社会が実現される想定が示されています(本部 資料2-1「自動運転を巡る動きについて 自動運転技術の進展状況」5頁及び9頁)。
(出典)本部 資料2-1「自動運転を巡る動きについて 自動運転技術の進展状況」9頁
また、2026年1月16日に閣議決定された第3次交通政策基本計画では、2030年度における自動運転サービス車両数を1万台とするKPIが示されています(第3次交通政策基本計画 64頁)。本部資料の中でも、自動運転KPIの達成に向けた施策として、自動運転社会実装推進事業の支援拡充や、より高水準のレベル2市販車の開発・普及の促進、事故原因究明体制の構築等があげられています。

(出典)本部 資料2-1「自動運転を巡る動きについて 自動運転技術の進展状況」10頁
今後のスケジュールとしては、2026年4月上旬の第2回本部で中間とりまとめ素案が示され、同年6月上旬の第3回本部で中間とりまとめ案が示される予定です。並行して、自動運転社会の近未来像検討ワーキンググループにおいて、自動運転社会の近未来像や、自動運転社会の実現が国土交通行政に与える影響・検討すべき事項、自動運転社会の早期実現方策が検討されます(本部 資料4「今後の進め方(案)」)。
Ⅲ. その他動向
デジタル庁では、2026年1月27日に第13回モビリティワーキンググループが開催され、同年6月頃の「モビリティ・ロードマップ2026の決定」に向けた論点整理や進め方が議論されています。モビリティ・ロードマップ2025の重点項目の個別フォローに加え、物流の自動運転実装へ向けた状況を確認することとされています。全4回のワーキンググループを開催し、(ペンディングとなっていますが)AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループから開催状況の報告を受ける等した上で、デジタル社会推進会議において、モビリティ・ロードマップ2026が決定される予定です。
(出典)第13回モビリティワーキンググループ(モビリティWG)事務局資料
資料2「『モビリティ・ロードマップ2026』の論点(案)及び策定に向けた進め方」9頁
また、国連・自動車基準調和世界フォーラム(WP29)は、2026年6月に、レベル4を想定した自動運転に関する安全基準を策定することを目指していると報道されています(読売新聞オンライン「国連が車の自動運転に安全基準、「レベル4」想定し熟練ドライバー並みに…6月策定の原案判明」(2026年1月31日))。同基準が採択されれば、国内の保安基準でも採用されることが想定されますので、今後の動向が注目されます。