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中国最新法令

中国最新法令No.446(外商投資奨励産業目録(2025年版)等)

目次

Ⅰ. 注目法令等の紹介

1. 「外商投資奨励産業目録(2025年版)」

「鼓励外商投资产业目录(2025年版)」
国家発展改革委員会、商務部 2025年12月15日公布、2026年2月1日施行

執筆担当:張 雪駿五十嵐 充

「外商投資奨励産業目録(2025年版)」は、中国全国を対象とする全国外商投資奨励産業目録と中西部等地区1のみを対象とする中西部等地区外商投資優位産業目録の2つの目録によって構成される。同目録は、「外商投資奨励産業目録(2022年版)2 を改正するものであり、303項目が修正され、新たに205項目が追加された(総項目数は1,679項目)。

全国外商投資奨励産業目録に該当する産業に従事する外商投資企業には、主に以下の優遇措置が適用される。

①    投資総額内の自用輸入設備は、関税免除措置を受けることができる3
②    土地を集約使用する工業プロジェクトに対しては土地が優先的に供給され、対応する全国工業用地譲渡最低標準価格の70%を土地払下最低標準価格にすることが可能となる4
③    西部地域及び海南省の優位産業に従事する場合、企業所得税に関し15%の軽減税率が適用可能となる5
④    外国投資者が国内企業から配当される利益を、全国外商投資奨励産業目録に該当する業種に直接投資し、かつ所定要件6に合致する場合、投資額の10%を納税額から控除できる7

全国外商投資奨励産業目録は、先進製造業と現代的サービス業8の外資誘致をメインに奨励しており、今回の改正のうち、特に注目すべき、新たに追加又は修正された項目は以下のとおりである。

①    核酸類医薬品の開発と生産(113項)
②    高速カメラの研究開発と製造(307項)
③    ゼロ磁気医療機器の研究開発と生産(315項)
④    スマートエネルギー管理システム及び関連計測・検査・監視装置の開発と生産(323項)
⑤    ロボット用重要基盤部品の開発と製造(432項)
⑥    バーチャル発電所の運営及び関連技術の研究開発(486項)
⑦    インターネット+医療健康サービス(605項)
⑧    スポーツ観光サービス(619項)

中西部等地区外商投資優位産業目録は、中西部・東北等各省・直轄市の事情を総合的に考慮して奨励項目が追加された。主な追加項目は以下のとおりである。

①    氷雪設備の研究開発と製造(黒龍江)
②    ハイエンド化・インテリジェント化クレーン建設機械及び部品の研究開発と生産(河南)
③    海洋環境改善管理、生態修復及び生態モデルプロジェクトの建設(海南)
④    丘陵山地に適した中小型農業機械の研究開発と製造(重慶)
⑤    計算能力基盤ソフトウェア・ハードウェアの研究開発と生産(貴州)
⑥    風力発電所の運営(青海)

2. 「増値税法実施条例」

「增值税法实施条例」
国務院 2025年12月15日公布、2026年1月1日施行

執筆担当:沈 暘鈴木 幹太

「増値税法」9が2024年12月25日に公布されたことを受け、国務院は、これに対応する下位法令として増値税法実施条例(以下「実施条例」という)を制定し、増値税法の用語の定義や、増値税法の実施に関する具体的な内容を定めた。2026年1月1日に、増値税法と実施条例が同時に施行された。

実施条例では、増値税の納税者、課税取引の範囲について、より明確な定義が示された(2条、3条)。また、増値税法4条4項で規定されるサービス及び無形資産の「国内における消費」に該当する要件について明確化し、外国企業又は個人が中国国内の企業又は個人(以下「国内企業等」という)に対してサービス又は無形資産を提供し、国外の現場で消費されるサービスについては、国内消費から除外すると規定した(4条)。

実施条例では、ゼロ税率が適用されるサービス、無形資産の国際取引に関わる具体的な内容等を定めた。国外企業に譲渡され、かつ完全に国外で使用される10技術についてもゼロ税率の適用対象とされることが明確にされた(9条)。

増値税法13条では、納税者が複数の税率・徴収率に該当する課税取引を行う、いわゆる「混合販売」11の場合、当該課税取引の主要な業務に適用される税率・徴収率を適用すると定められている。実施条例では、混合販売について、「各業務の間に明確な主従関係が存在し、主要業務が取引において、主導的な地位を占め、取引の実質と目的を体現するものであり、付随業務は主要業務に不可欠な補完であって、主要業務の発生を前提とする。」と規定し、主要業務の判断基準を一定程度具体化している(10条)。

また、国外企業が中国国内の自然人に国内不動産を賃貸する場合、国内代理人が存在するときは、当該国内代理人が増値税を申告納付する旨が定められている12(35条2項)。

このほか、実施条例では、増値税の還付、免税に適用される輸出業務に関する手続について定めているが(48条-50条)、具体的な手続は、国務院財政、税務主管部門により制定される予定であり(51条)、引き続き注目する必要があると考えられる。

(全54条)

3. 「商事調停条例」

「商事调解条例」
国務院 2025年12月31日公布、2026年5月1日施行

執筆担当:高 玉婷森 規光

商業的な事項に関する調停13(商事調停14)は、すでに中国国際貿易促進委員会/中国国際商会調停センター等の組織において実施されているが、商事調停に関して統一的に規律する全国的な法令は存在しなかった。本条例は中国として初めて商事調停活動を専門的に規範化する条例であり、商事紛争件数の持続的増加と訴訟負担の過重という現実問題に対応するため、本条例を制定し、中国における多元的紛争解決メカニズムを整備すると説明されている15

本条例によれば、商事調停の対象は、当事者間の貿易、投資、金融、運輸、不動産、建設工事、知的財産権等の分野で生じた商事紛争であり、婚姻・家庭、相続、後見、労働人事、消費者権益に関する紛争及び法律により他の方法で解決すべき紛争には商事調停を適用しないことを明記する(2条)。

本条例では、商事調停組織及び商事調停員が満たすべき条件を規定し(8、12条)、商事調停組織は業務管理、利益相反審査、苦情処理等の内部管理制度を整備し、定款、商事調停員名簿、調停規則等の情報を適時に公開することが求められる(13条)。

また、商事調停合意書の効力について、本条例では、調停合意書には履行方法・期限等の内容が明記されなければならず、商事調停合意書は法的拘束力を有し、当事者はこれを履行しなければならないとされている(22条)。当事者は、調停合意書について中国民事訴訟法の規定16に基づき、中国の裁判所に対して司法確認を申し立てることができる。もし調停合意書が中国領域外での執行に関わる場合、関連する国際条約に基づき、管轄権を有する外国の主管機関に執行を申請することができるとされている(23条)。

(全33条)

4. 「自動車データ域外移転安全ガイドライン(2026年版)」

「汽车数据出境安全指引(2026版)」
工業情報化部、国家インターネット情報弁公室、国家発展改革委員会、国家データ局、公安部、自然資源部、交通運輸部、国家市場監督管理総局 2026年1月30日公布、同日施行

執筆担当:張 超森 規光

「データ安全法」及び「個人情報保護法」において重要データ及び個人情報の域外移転規制が規定されており、自動車業界のデータに関する特別法として「自動車データ安全管理若干規定(試行)」が制定されているが、本ガイドラインでは、自動車データの域外移転についてさらに具体的なルールを規定している。本ガイドラインの主な内容は、以下のとおりである。

①    個人情報に該当する自動車データを域外移転する場合には、基本的に「個人情報保護法」等に基づき、安全評価の合格、個人情報域外移転標準契約の締結又は個人情報保護認証の取得のいずれかの要件を満たす必要があるが、「データ越境流動の促進及び規範化に関する規定」17において一定の免除事由が規定されている。本ガイドラインでは、当該規定に定められる免除事由に加えて、自動車データ特有の免除事由として、安全脆弱性の補修、安全事象の処置及び自動車製品の欠陥の除去に関するデータを域外移転する場合を追加した(1条)。これらを免除事由とした理由は、当局によれば自動車の安全の問題に関して迅速な修補や処理を可能にし、車両運行安全と国内外消費者の安全を確保するためと説明されている18

②    「自動車データ安全管理若干規定(試行)」において、自動車業界における重要データの具体的な内容が列挙されているが、本ガイドラインではさらに具体的に自動車業界における重要データの内容が規定されている(2条)。例えば、製品研究開発に関する自動車データのうち、国家重要特定プロジェクトの支援技術、輸出禁止技術、輸出管理規制の対象となる両用品目に関連する場合は重要データとなり、また製品テストに関する自動車データのうち、車外人物の顔のバウンディングボックスの最小辺長が32ピクセル以上、車両ナンバープレートのバウンディングボックスの最小辺長が16ピクセル以上、国内運行中の10万台以上の車両からの収集、実環境における累計2,000時間以上の原始映像の収集、1,000万枚以上の原始画像に該当する場合には重要データとなるとされている。本ガイドラインはあくまでガイドラインとして法的拘束力はないが、事実上、本ガイドラインで重要データに該当するとされているデータについては重要データの域外移転規制の対象となり、安全評価の合格が必要となる可能性があるため、自動車関連企業においては、中国から域外移転するデータに本ガイドラインが規定する重要データが含まれていないか、検討をする必要があると考えられる。

(全4条)

Ⅱ. その他の法令等一覧

2026年1月13日から2026年2月3日までの期間に公布された主な法令等の一覧は以下のとおりである(上記にて取扱った法令等を除く。)。

1.    「税関登録登記及び届出企業信用管理規則(改正)」
(原文:海关注册登记和备案企业信用管理办法(修订))
(税関総署、2026年1月13日公布、2026年4月1日施行)

2.    「アンチマネーロンダリング特別予防措置管理規則」
(原文:反洗钱特别预防措施管理办法)
(中国人民銀行等、2026年1月13日公布、2026年2月16日施行)

3.    「未成年者の心身健康に影響を及ぼす可能性のあるネットワーク情報の分類規則」
(原文:可能影响未成年人身心健康的网络信息分类办法)
(国家インターネット情報弁公室等、2025年12月26日公布、2026年3月1日施行)

4.    「国家発展改革委企業技術センター認定管理規則」
(原文:国家发展改革委企业技术中心认定管理办法)
(国家発展及び改革委員会、2025年12月29日公布、2026年2月1日施行)

5.    「サービス消費の新たな増長分野を加速育成するための業務方案」
(原文:加快培育服务消费新增长点工作方案)
(国務院弁公庁、2026年1月25日公布、同日施行)

6.    「ネットワーク貨物運送事業者経営管理規則」
(原文:网络货运承运平台经营管理办法)
(交通運輸部等、2026年1月23日公布、同日施行)

7.    「国家貯備安全法(意見募集稿)」
(原文:国家储备安全法(征求意见稿))
(国家発展及び改革委員会、2026年1月17日公布、2026年2月16日まで意見募集)

8.    「金融情報サービスデータ分類分級ガイドライン(意見募集稿)」
(原文:金融信息服务数据分类分级指南(征求意见稿))
(国家インターネット情報弁公室、2026年1月24日公布、2026年2月23日まで意見募集)

9.    「交通運輸データ安全管理規則(意見募集稿)」
(原文:交通运输数据安全管理办法(征求意见稿))
(交通運輸部、2026年1月14日公布、2026年2月13日まで意見募集)

  1. 中西部等地区外商投資優位産業目録に含まれる地方は、山西省、内モンゴル自治区、遼寧省、吉林省、黒龍江省、安徽省、江西省、河南省、湖北省、湖南省、広西自治区、海南省、重慶市、四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏自治区、新疆自治区である。
  2. 本ニュースレターNo.388(2022年11月25日発行)参照。
  3. 「設備輸入税収調整に関する通知」1条。
  4. 「対外開放の拡大及び外資の積極利用における若干の措置に関する通知」3条17項。
  5. 「西部大開発企業所得税政策を延長に関する公告」1条、「海南自由貿易港企業所得税優遇政策の継続実施に関する通知」1条
  6. 主に、投資金額を直接に投資先企業口座に送金すること、投資先企業の持分等を連続5年以上保有することがあげられる。
  7. 「外国投資者による配当利益の直接投資に対する税額控除政策に関する公告」
  8. 科技部が公布した「『一三五』現代的サービス科学技術イノベーション特定プロジェクト計画」によれば、現代的サービス業とは、主に情報技術と現代の経営理念に基づいて発展した、情報・知識集約的なサービス産業を指すものとされている。
  9. 本ニュースレターNo.432(2025年1月24日発行)参照。
  10. 「完全に国外で使用される」ことについての定義は定められておらず、具体的にどのように適用されるか、今後の立法又は実務に委ねられる。
  11. 例えば、税務総局HPでは、充電・電池交換業務について、主要業務の判断に関するQAを公開している。回答では、充電・電池交換業務は、業務の実質から見ると購入者への電力製品販売であり、購入者が取引を成立させる主な目的も電力製品の取得・使用である。この過程で蓄電池交換、位置情報提供、メンテナンス等の付随サービスが提供される。したがって、充電・電池交換関連業務の本質は電力販売を主体とする混合販売行為であり、上記政策規定に基づき、取得した全売上高に対して電力製品販売として13%の付加価値税税率を適用すべきとしている。https://www.chinatax.gov.cn/chinatax/c102414/c5238551/content.html
  12. 「増値税法」15条では、国外の企業及び個人に国内で課税取引が発生した場合は、購入者を源泉徴収義務者とする。国務院の規定に従い国内の代理人に納税申告を委託する場合は、この限りでないと定められている。
  13. 紛争解決のために中立的な第三者が介入するものの、裁判や仲裁とは異なり、当該第三者が終局的な判断を下すのではなく、あくまで合意形成の支援をすることによって紛争を解決する制度。
  14. 商事調停に対して、婚姻関係や相続等に関連する調停は人民調停と呼ばれ、「人民調停法」により規律されている。
  15. 「商事調停条例」記者会見参照。
  16. 「民事訴訟法」205条、206条
  17. 本ニュースレター No⁠.420(2024年4月12日発行⁠⁠)参照。
  18. 「自動車データ域外移転安全ガイドライン(2026年版)」記者会見参照。

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