Ⅰ. はじめに
令和8年国会(特別会)では、農林水産省が提出した以下の法律案が可決されました1。
| ① | 農業近代化資金融通法の一部を改正する法律案(公布日:5月7日、施行日:公布日から1年を超えない範囲内の日) |
| ② | 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案(公布日:7月15日、施行日:公布日から1年を超えない範囲内の日(別途の定めがあるものを除く)) |
| ③ | 種苗法の一部を改正する法律案(成立日2:7月17日、施行日:令和8年12月1日(一部の規定については公布日)) |
| ④ | 重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案(成立日3:7月17日、施行日:公布日から6ヶ月を超えない範囲内の日) |
| ⑤ | 農業構造転換の推進に必要な施策の集中的な実施の財源に充てるための日本中央競馬会の国庫納付金の納付に関する臨時措置法案(公布日:3月31日、施行日:令和8年3月31日) |
| ⑥ | 日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(公布日:3月31日、施行日:公布日から6ヶ月を超えない範囲内の日(別途の定めがあるものを除く)) |
| ⑦ | 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(公布日:5月7日、施行日:公布の日から起算して6ヶ月を超えない範囲内の日(別途の定めがあるものを除く)) |
| ⑧ | 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(公布日:5月19日、施行日:公布の日から起算して3ヶ月を超えない範囲内の日(別途の定めがあるものを除く)) |
本ニュースレターVol.10では、これらのうち、近時の農業・食料分野における課題解決の観点から特に重要性の高い①から④の主な内容について紹介します。
Ⅱ. 農業近代化資金融通法の改正
1. 改正の背景・農業近代化資金の概要
近時の基幹的農業従事者の激減4等を受け、農業経営の大規模化や、物流・加工・輸出への取り組みを含む事業の多角化が進んでいます。また、小規模農家が農地を手放し、地域における農業の担い手に農地が集約されつつあることも、農業経営の規模拡大や事業の多角化に拍車をかけています。さらに近時では農業機械や農薬・肥料等の農業資材の価格が高騰しています。
これに伴い農業分野の資金需要が増大しており、農業近代化資金を含む長期・低利の融資制度の拡充が求められていました。
農業近代化資金はJAバンク(農林中央金庫含む)や銀行等の民間金融機関が取り扱う制度資金であり、今般改正前の制度概要は以下の通りです(具体的な内容は資金の種類によって異なります。)。一方、今般の改正前は、個人については4,000万円の範囲内で政令で定める額(=1,800万円)、法人については2億円が借入額の上限とされ、近時の資金需要の拡大に十分に応えられていないとの声が挙がっていました。
| 利用できる者 | 融資の特徴 | 資金使途 |
| 認定農業者、認定新規就農者(青年(原則18歳以上45歳未満)、知識・技能を有する者(65歳未満)又はこれらの者が役員の過半を占める法人であって、それぞれ計画の認定を受けた者)、主業農業者等5 |
| ①農産物の生産、流通又は加工に必要な施設・農機具等の機械の改良、造成、復旧又は取得、②農地等の改良・造成・復旧(取得を含まない6)、③長期運転資金等 |
2. 改正内容
上記の要請を踏まえ、今般の改正により、農業近代化資金の借入上限額が、個人については2億円の範囲内で政令で定める額以内7、法人については7億円以内まで引き上げられました。
さらに政策レベルでは、従前の農業近代化資金では資金使途に含まれていなかった農地の取得を資金使途に含み、より使い勝手を向上させた農業経営高度化資金が農業近代化資金の新たなメニューとして追加されることが予定されています。
Ⅲ. 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)の改正
1. 改正の背景
2024年から2025年にかけて発生した、いわゆる「令和の米騒動」における農林水産省の対応検証において、多様化する流通実態を政府が十分に把握できていなかったことや、政府備蓄は売渡手続に時間がかかり機動性を欠くという課題が明らかになりました。かかる検証結果を受けて行われた今般の食糧法改正により、政府における米穀の流通実態の把握機能強化や民間備蓄制度の創設等が行われます。
2. 主な改正内容
(1)多様化する流通実態の把握強化
従前は米穀の出荷・販売業者のみが届出の主体とされていましたが、今般の改正により、米穀の出荷・販売業者に加えて、一定規模以上の加工・中食・外食の事業者も業務開始前の届出及び定期報告の主体に追加されました(新食糧法9条及び11条)。届出・定期報告等に係る規定が適用される事業者の規模については今後政省令で定められることになりますが、定期報告については、①年間300トン以上の出荷・販売を行う事業者は毎月の報告、②それ以下の出荷・販売事業者、及び加工・中食・外食の事業者は年1回の報告を求める方向で検討されています8。
また、届出・定期報告等の適正性を担保するため、罰則措置が設けられました(同法56条2号、58条、59条1号及び2号並びに62条1号)。
(2)民間備蓄制度の創設
今般の改正により、一定規模9以上の民間事業者に対して、基準量以上の米穀保有が義務付けられました(同法33条の2以下)。農林水産大臣は、米穀の供給が不足すると認める場合であって、政府備蓄よりも民間備蓄の譲渡が迅速に対応できると認める場合、保有基準量を減少させ、必要に応じて民間備蓄の放出を勧告することにより、米穀の供給不足に対応することが想定されています。かかる義務を負う民間事業者に対する支援のため、財政上の支援措置も行われることとされています。
(3)需要に応じた生産の促進
従前より政府が主食用米の生産調整を行う減反政策は廃止されていましたが、これに代わり近時は各米穀生産者が需要に応じた生産を行うことを促す政策が推進されています。食糧法においても、今般の改正により生産調整方針に関連する規定が削除され、米穀生産者が、主体的に米穀の需給の適確な見通しその他の情報を踏まえて、需要に応じた生産を行うよう努めるものとする規定が設けられました(同法5条)。
Ⅳ. 種苗法の改正
1. 改正の背景
わが国の農林水産業・食品産業は、優良な品種や家畜遺伝資源、高い技術やノウハウ、特有の食文化等の知的財産によって他に類を見ない強みがあり、国内外のマーケットで高く評価されています。一方、高い侵害・模倣リスクに晒されており、わが国で開発されたシャインマスカットの種苗等の海外流出により多額の損失が発生しています。そのため、わが国で開発された優良品種に係る権利保護の強化及びその実効性の確保が課題になっていました。
今般の種苗法改正により、同法に基づく育成者権の保護強化と、植物新品種の海外流出対策強化が図られました。
2. 主な改正内容
(1)育成者権の存続期間の延長
新たな品種の開発にあたっては、高度な技術や労力を要し、また新品種の種苗増殖・成木化、生産技術の確立・普及により達成される産地形成のためには長い期間を要するという実態を踏まえ、育成者権の存続期間が10年間延長されました(新種苗法19条2項)。これに伴い、法改正後は育成者権の期間が品種登録の日から35年(永年性植物については40年間)となります。
(2)植物新品種の流出防止対策の強化
ア. 品種登録出願中の保護(同法14条の2)
現状、品種登録において出願から登録までには栽培試験等により数年間を要しているところ、出願期間中は育成者権の保護が無く、その期間中に種苗が海外に流出している実態があることが指摘されていました。今般の改正により、出願品種の登録前であっても、警告等の一定の手続を経たうえで、輸出により回復することが困難な損害が生じ、又は生じるおそれがあることを証明することで、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種やその種苗の輸出の差止めを行うことができる旨の規定が設けられました。
イ. 種苗の輸出目的の保管の制限(同法21条2項、21条の2第1項)
育成者権者の許諾無く種苗等が海外に持ち出されることを制限する規定の実効性を強化するために、海外持出し・輸出の前段階である、同目的での保管(例えば輸出向けの倉庫での保管)にも育成者権の効力が及ぶこととされました。
種苗法においては、原則として適法に種苗を譲渡した後は、当該譲渡された種苗について育成者権の効力が及ばなくなるという育成者権の消尽という考え方が採られているものの、登録品種の種苗を生産する行為や品種育成に関する保護を認めていない国に対する輸出については、例外的に育成者権の効力が及び続けることとされており、今般の改正によりこの例外の対象として、品種育成に関する保護を認めていない国に対する輸出の目的で登録品種の種苗や収穫物を保管することが追加されました。
ウ. 育成者権侵害に対する訴訟上の救済の強化(同法34条、35条の3)
育成者権が侵害された場合の損害額について、従前より損害額の推定規定(大要、育成者権侵害者による譲渡数量に、育成者権者の単位利益を乗じた金額のうち、育成者権者の利用能力に応じた額を超えない限度の金額を育成者権者が被った損害額とすることができる)が設けられていましたが、育成者権者の利用能力を超える部分については推定が及ばないという問題がありました。
今般の改正では、育成者権者の利用能力を超える部分についても、その部分について通常受けるべき許諾料相当額又はライセンス料相当額を、推定が及ぶ損害額として加算できることとなりました。
また、従前は権利侵害の疑義がある品種と登録品種の同一性の証明(栽培試験やDNA鑑定等)や、そのために必要となる証拠収集が困難であり、訴訟提起のハードルが高かったという課題を踏まえ、今般の改正において、登録品種の名称を使用して業として販売等がなされた種苗について、訴訟上、実物の確認を要さずに当該名称の品種の種苗であると推定する規定を創設することで、立証責任の一部を育成者権者から侵害者に転換し、育成者権者の保護が強化されることになりました10。
エ. 外国からの登録品種の種苗等の逆輸入の制限(同法21条2項)
育成者権者等が国外で登録品種である種苗等を譲渡した場合であっても、当該種苗等をわが国で利用する場合(外国からの輸入を含みます。)には育成者権が消尽せず、引続き育成者権の効力が及ぶことが明確化され、育成者権者の保護が強化されました。
オ. 種苗の貸渡し(リース)に関する保護の強化(同法2条5項等)
従前、種苗の貸渡しについては、種苗法上、育成者権の効力が及ぶ行為に含まれていませんでしたが、今般の改正により、育成者権者が種苗の所有権を保持したうえで種苗の貸渡しを行う場合でも当該貸渡行為及び対象の種苗に育成者権の効力が及ぶこととなり、育成者権者の保護が強化されました。
(3)その他
上記(1)及び(2)以外にも、以下の改正が行われました。
ア. 早期に実用化する必要性が高い出願品種について、優先審査ができること。
イ. 特許法に倣い、紛争の解決のために裁判所が広く一般から意見を募集できる制度の創設。
ウ. 登録品種の名称使用義務違反に係る過料の10万円から20万円への引上げ。
Ⅴ. 重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律(気候変動等対応品種法)の制定
1. 制定の背景
近時の気候変動やこれに伴う病害虫の生育地域の拡大等により、従来品種の生育に悪影響が生じています。今後も生産性を維持するためには、高温耐性や耐病性を備えた新品種の開発が必要であり、また生産性をさらに向上させるためには多収品種の開発が不可欠です。一方、日本発の新品種育成及び品種登録件数は減少しています。
そこで、Ⅳ.の種苗法改正と併せて新たに気候変動等対応品種法を制定することにより、気候変動等に対応できる新しい形質を備えた重要品種11の育成・普及が進むことが期待されています。
2. 主な内容
(1)気候変動等対応品種法の枠組み
同法においては、農林水産大臣が認定を行う「重要品種育成事業計画」12と、都道府県知事が認定を行う「重要品種種苗生産事業活動計画」13の2つの大きな枠組みが存在します。
ア. 重要品種育成事業計画
農林水産大臣が重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する基本的な方針を定め(気候変動等対応品種法5条)、重要品種育成事業を行おうとする産官学がかかる基本方針に即して重要品種の育成事業に関する計画を作成し、法令の要件に適合する場合、農林水産大臣はこれを認定することとされています(同法6条)。
重要品種育成事業計画には、重要品種育成事業に関する基本的事項の他、①種苗の生育状況の判別その他の重要品種育成事業の実施のため無人航空機を飛行させる行為(当該行為の飛行の方法が航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないものに限ります。)を、(a)航空法132条の85第1項2号に定める空域において行う場合は当該行為を行う空域及び期間並びに当該行為に使用する無人航空機を特定するために必要な事項、又は(b)同法132条の86第2項1号から3号まで、5号若しくは6号に定める方法のいずれかによらずに行う場合は当該飛行の方法及び当該行為を行う期間並びに当該行為に使用する無人航空機を特定するために必要な事項をそれぞれ記載でき、また②国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が保有する研究開発に係る施設、設備、機器、装置、プログラム等の研究開発設備等の利用の内容及び期間に関する事項についても記載することができます。
イ. 重要品種種苗生産事業活動計画
都道府県が、国の基本方針を踏まえ、農林水産大臣と協議のうえ当該都道府県の区域内における重要品種種苗生産事業活動の促進に関する基本的な計画を作成し、農林水産大臣は法令の要件に適合する場合、これに同意するものとされています(気候変動等対応品種法12条)。かかる基本計画における実施区域において、重要品種種苗生産事業活動を行おうとする農業者等の種苗生産者は、重要品種種苗生産事業活動計画を作成することができ、法令の要件に適合する場合、都道府県知事はこれを認定することとされています(同法16条)。
重要品種種苗生産事業活動計画には、重要品種種苗生産事業活動に関する基本的事項の他、①重要品種種苗生産事業活動の用に供する農業用施設の整備に関する事項、②重要品種種苗生産事業活動における農業の生産性の向上及び経営の改善に向けて行う農地の集団化その他農地の利用の効率化に関する事項、並びに③重要品種種苗生産事業活動における重要品種の種苗の生産団地における農用地に関する農業上の利用の調整及び栽培の管理に関する事項についても記載することができます。

(重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案の概要)
(2)気候変動等対応品種法を活用することによるメリット
重要品種育成事業計画又は重要品種種苗生産事業活動計画について認定を受けることにより、以下のようなメリットを享受することができます。
ア. 重要品種育成事業計画の認定を受けた場合
(ア)航空法の特例(気候変動等対応品種法8条)
認定を受けた重要品種育成事業計画において、上記Ⅴ.2.(1)ア①記載の航空法に関する事項が記載されている場合、記載された事項に応じて、当該認定の日において、同法132条の85第4項2号の規定による許可又は同法132条の86第5項2号の承認があったものとみなされ、手続がワンストップ化されます。
(イ)農研機構の研究開発設備等の供用及び協力(気候変動等対応品種法9条)
認定を受けた重要品種育成事業計画において、上記Ⅴ.2.(1)ア②記載の研究開発設備等の利用に関する事項が記載されている場合、当該計画に従って行われる活動のために必要な農研機構の研究開発設備等を利用することができるようになります。また、農研機構に対して当該活動のために必要な専門家の派遣その他の必要な協力を依頼することができるようになります。
(ウ)品種登録出願料等の減免(同法10条)
重要品種育成事業計画により新たな品種を育成した場合、当該事業者は、農林水産大臣に遅滞なく報告し、農林水産大臣から当該品種が、その保持している形質に係る特性の全部又は一部によって日本国内又は外国において公然知られた他の品種と明確に区別されるものである旨の通知を受けた場合、遅滞なく品種出願登録を行うものとされています。
この際に発生する出願料及び登録後6年間の登録料について、今後定められる政令に基づき軽減又は免除の措置を受けることができます。
イ. 重要品種種苗生産事業活動計画の認定を受けた場合
(ア)農地法の特例(同法18条)
認定を受けた重要品種種苗生産事業活動計画において、上記Ⅴ.2.(1)イ①記載の農業用施設の整備に関する事項が記載されている場合、当該計画に従って農業用施設の用に供することを目的として農地を農地以外のものにし、又は農用地を農用地以外のものにするため当該農用地について所有権や賃借権等の権利を取得するときは、同法4条1項又は5条1項の許可があったものとみなされ、手続がワンストップ化されます。
(イ)地域計画の協議の場への参加(気候変動等対応品種法19条)
認定を受けた重要品種種苗生産事業活動計画において、上記Ⅴ.2.(1)イ②記載の農地の利用の効率化に関する事項が記載されている場合であって、その対象農地を含む区域において農業経営基盤強化促進法18条1項に基づく地域計画に係る協議の場が設けられる場合、当該計画に係る事業者は当該協議への参加申出を行うことができます。
(ウ)種苗生産者と周辺農業者との間で締結した栽培管理協定の承継効(気候変動等対応品種法20条から26条)
都道府県が作成し、農林水産大臣の同意を得た重要品種種苗生産事業活動の促進に関する基本的な計画の実施区域内に存在する相当規模の一団の農用地の所有権者や賃借権者等は、認定を受けた重要品種種苗生産事業活動計画に従って行われる活動を円滑に実施するため、市町村長(二以上の市町村の区域にわたる場合にあっては、都道府県知事)の認可を受けて、対象となる区域内の農用地に係る所有権者や賃借権者等の全員の合意を得たうえで重要品種の種苗の生産団地の形成及び重要品種種苗生産事業活動の実施のための栽培の管理に関する協定(栽培管理協定)を締結することができます。この協定には、①対象となる農用地の区域、②当該区域内の農用地に関する農業上の利用の調整に関する事項、③重要品種の種苗並びに当該種苗以外の種苗及び農産物の生産における栽培の管理に関する事項、④栽培管理協定の有効期間(最大5年)、⑤栽培管理協定に違反した場合の措置、並びに⑥その他必要な事項を定めるものとされています(同法20条)。
栽培管理協定の締結に係る認可申請を受けた市町村長等は、その旨の公告及び利害関係人に対する協定の縦覧機会の提供を行い、法定の要件を満たす場合にはこれを認可することとされています(同法21条及び22条)。
栽培管理協定は、認可の公告があった後に対象区域内の農用地に係る農用地所有者等になった者に対しても、その効力を有するものとされています(同法24条)。
重要品種種苗生産事業活動を行う事業者としては、周辺農地に係る権利者との間で利害関係の調整を行う必要がある場合に栽培管理協定を活用することが考えられます。
(エ)農用地区域内農地への編入手続の簡素化(同法27条)
上記(ウ)の栽培管理協定について認可を受けた場合、当該協定の対象区域内の一団の農用地の所有者は、市町村に対し、当該農用地について農振法14に定める農用地区域15に編入するよう要請することができ、この場合の市町村における編入手続が簡素化されます。
Ⅵ. おわりに
2024年の食料・農業・農村基本法の改正、2025年の新たな食料・農業・農村基本計画の策定等を経て、2026年は農林水産業の現場における具体的な課題を踏まえた多くの個別の法令改正や新法の制定が行われました。今後はこれらの法令や新たな制度を活用・遵守しながら、課題の解決を図り、食料・農業分野がさらに発展することが期待されています。
本ニュースレターでは、今後も農林水産業・食料システムに関連する動向・アップデートを継続的にお届けする予定です。
- 成立日・公布日はいずれも令和8年
- 本ニュースレター執筆時点で、公布日は未公表です。
- 同上
- 2026年6月30日に公表された『令和8年農業構造動態調査結果』によると、基幹的農業従事者数は98万6,600人となり、初めて100万人を割りました。2000年時点における基幹的農業従事者数が約240万人であったことから、この四半世紀で6割近く減少したことになります。
- 今般の法改正を前提として新たに農業近代化資金のメニューとして導入される予定の農業経営高度化資金においては、地域計画に位置付けられた農業者等が貸付対象者となることが想定されています。
- 今般の法改正を前提として新たに農業近代化資金のメニューとして導入される予定の農業経営高度化資金においては、設備資金や長期運転資金に加え、農地取得や借換えについても資金使途に含め、より利便性が高いものとすることが想定されています。
- 現時点では、法定の上限額と同じ2億円を政令で定める金額とすることが予定されています(2026年4月14日衆議院農林水産委員会における答弁)。
- 2026年5月13日衆議院農林水産委員会における答弁
- 今後政省令で定められますが、年間の出荷・販売数量が10万トン以上という基準が検討されています(2026年5月13日衆議院農林水産委員会における答弁)。
- また、2026年夏頃に育成者権に係る法的支援を行う育成者権管理機関の立ち上げが予定されています。
- 種苗法2条2項に規定する品種(同条1項に規定する植物体のうち農産物の生産のために栽培されるものの集合に係るものに限る。)であって、①省力化又は多収化に資する形質、高温等による植物の生育への影響を緩和する形質その他の農業をめぐる情勢の変化に対応する形質に係る特性を保持しており、②当該品種の種苗が、広域に普及することが可能であり、かつ③同法3条1項の品種登録を受けたものであることと定義されています(気候変動等対応品種法2条1項)。新たに開発される品種のみならず、既存の品種についても重要品種に含まれ得ることが想定されています(2026年6月16日衆議院農林水産委員会における答弁)。
- 重要品種となる品種の育成をする事業であって、その育成をした品種について品種登録を受けることを目指すもの(重要品種育成事業)の実施に関する計画(同法2条4項、6条1項)
- 重要品種である品種の種苗について、広域の普及を図ることに資するよう、効率的にその生産をする事業活動(重要品種種苗生産事業活動)の実施に関する計画(同法2条5項、16条1項)
- 農業振興地域の整備に関する法律
- 農用地区域内の土地については、農地としての評価を受けやすく農業関係の補助事業を受けやすくなる、税務上も農地として取り扱われやすい、厳しい転用制限が適用されるため農地集積・集約化が行いやすく農業経営の安定性が高まる等のメリットがあります。