Ⅰ. はじめに
今回のニュースレターでは、「木枯し紋次郎」シリーズの小説(以下「本件小説」といいます。)に係る著作権侵害が主たる争点として争われた「木枯らし紋次郎事件」(以下「本件」といいます。)を紹介します。
本件は、知的財産高等裁判所令和7年9月24日判決(以下「本判決」といいます。)と原判決である東京地方裁判所令和5年12月7日判決(以下「原判決」といいます。)とで裁判所の判断が分かれており、著作権法の分野では注目を集めています。
以下では、まず、本件の事案の概要と関連する前提知識を簡単に解説した上で(「Ⅱ.」)、次いで、主要な争点に関する本判決と原判決の概要を紹介し(「Ⅲ.」)、最後に、本判決の検討を行います(「Ⅳ.」)。
Ⅱ. 事案の概要及び前提知識
1. 事案の概要
本件は、「紋次郎」という渡世人を主人公とする本件小説及び本件小説を原作とするテレビドラマシリーズ(以下「本件テレビドラマ」といいます。)に係る原著作者の全ての著作権を相続した原著作者の妻1、及び同人から本件小説及び本件テレビドラマ等の著作物に係る著作権の独占的利用許諾を得たIP管理会社が(以下両者を併せて「原告」といいます。)、被告図柄をラベルに使用した被告製品を製造販売する駄菓子メーカーである被告に対し、被告製品の製造販売の差止及び廃棄を求めるとともに損害賠償を請求した事案です。
原告は、被告による被告製品の製造販売等の行為は、(ア)原告らが有する本件小説及び本件テレビ作品等の著作権及び独占的利用権の各侵害行為を構成し、又は(イ)本件小説の商品等表示として周知又は著名なものと同一の商品等表示を使用する不正競争行為に該当すると主張しました。本ニュースレターでは、このうち、(ア)の判断において特に問題となった被侵害著作物の特定性及び複製又は翻案該当性(類似性)の有無に焦点をあてて解説します。
なお、本件小説の記載、本件テレビ作品紋次郎、被告製品、及び被告図柄は下記のとおりです(本判決別紙より引用)。
【本件小説の記載】(「木枯らし紋次郎シリーズ」「流れ舟は帰らず」より)
「その渡世人も、例外ではなかった。三度笠を目深にかぶり、引き回しの道中合羽で身体を包むようにしていた。やや俯向きかげんなので、顔は見えない。ただ、三度笠の下から覗いている畳針のようなものが、絶えず動いていた。竹を削って両端を鋭く尖がらした手製の楊枝で、当時としてはそれが常識の長さ五寸、十五センチ以上あるものだった。それを、口の端にくわえているのである。その楊枝が、渡世人の特徴になっていた。場合によっては、一種の目印の役目を果たした。(中略)身内衆のひとりが三度笠の中を覗き込もうとしていた。『木枯し紋次郎さんじゃござんせんか』その若い衆は、ひょいと一歩退いた。楊枝をくわえていることで、そう察しがついたのである。それくらい、木枯し紋次郎のくわえ楊枝は知られていたのであった。」

2. 前提知識
(1)キャラクターの著作物性について
著作権法は、その保護の対象とする「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています(同法2条1項1号)。この定義からも明らかなとおり、著作物といえるためには、思想又は感情を創作的に「表現したもの」である必要がありますので、具体的な表現とはいえないアイデアについては著作権法の保護の対象とはなりません。
漫画や小説等の登場人物といったいわゆるキャラクターについては、具体的な表現であるキャラクターのデザインが著作物になり得ることに異論はありませんが、他方で、キャラクターの設定・特徴・人格といった部分については、思想又は感情を創作的に表現した具体的表現とはいえず、アイデアにすぎないため、著作物性が認められないと考えられています。
この点、ポパイ・ネクタイ事件最高裁判決(最一小判平成9年7月17日民集51巻6号2714頁)も、「一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである」として、一話完結形式の連載漫画において著作権侵害を主張するには具体的にどのコマ絵の表現が問題になるのかを明らかにしなければならない旨判示しています。
(2)二次的著作物における原著作者の権利について
著作権法は、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」を「二次的著作物」と定義しています(同法2条1項11号)。そして、著作権法は、二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有すると定めています(同法28条)。そのため、第三者が二次的著作物全体を利用する場合は、上記のとおり原著作者と二次的著作者の権利が併存していることから両者の許諾が必要になり、原著作者は、同法28条により認められる著作権を行使し、許諾のない利用行為に対して差止請求や損害賠償請求等ができます。
二次的著作物の部分的利用については、原著作者又は二次的著作者がどこまで権利行使できるかが問題となります。
この点、ポパイ・ネクタイ事件最高裁判決は、「二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分についてのみ生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じない」としているため、新たな創作性が付与されていない部分のみの利用については、二次的著作物の著作者は当該二次的著作物の著作権の権利行使をできないことになります。
一方、二次的著作物で新たに付与された創作的部分のみが無許諾で利用された場合には、当該部分に係る著作権侵害について、原著作者も権利行使できるとする見解と、原著作者は自らの創作性が及んでいない部分については権利行使できないとする見解があります。この点につき、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決(最一小判平成13年10月25日判時1767号115頁)(ストーリー担当者の漫画のストーリー原稿に依拠して作画担当者が漫画を作成するという手順を繰り返すことによって作成された連載漫画の主人公キャンディを描いた絵葉書が、連載漫画の原著作物であるストーリー原稿の著作者(ストーリー担当者)の権利を侵害するかが争われました。)は、二次的著作物である連載漫画のコマ絵の第三者利用につき、当該コマ絵が原著作物である物語原稿のストーリーを表しているか否かにかかわりなく原著作者の権利は原著作物の創作性が及んでいない範囲についても認められるとする前者の見解を採用したように読めます2。もっとも、この最高裁の判断には、著作者は自ら創作したものについて著作権を有するべきであり、原著作物の創作性が及んでいない部分についてまで権利行使を認めることは妥当でないとする批判が多くあるところです。
(3)複製又は翻案該当性(類似性)について
複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により著作物を有形的に再製することをいい(著作権法2条1項15号参照)、裁判例上、著作物の再製とは、既存の「著作物に依拠して、その表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する」こといいます(知財高判平成23・12・26判時2139号87頁)。翻案(著作権法27条)とは、判例上、「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する」こといいます(最判平成13年6月28日民集55巻4号837頁〔江差追分事件最高裁判決〕)。以上のとおり、複製又は翻案に該当するというには、既存の著作物に依拠して創作された著作物から既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるか(類似性)が問題とされます。
この点、江差追分事件最高裁判決は「著作権法は、思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(同法2条1項1号参照)、既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、翻案には当たらないと解するのが相当である。」と判示しており、表現の共通性はあっても創作性のない表現部分が共通するだけでは類似性が肯定されないと考えられています。
また、著作権法では表現とアイデアは区別されるため、表現のもととなっている抽象的なアイデアが共通していてもそれだけでは類似性は肯定されないと考えられています。
Ⅲ. 本判決及び原判決の内容
1. 原判決の内容
本件の原判決は、特に問題となった被侵害著作物の特定性及び複製又は翻案該当性(類似性)の点につき、以下のとおり判断した上、結論として、原告らの請求をいずれも棄却しました。
(1)紋次郎の著作物性について(特定論)
原審において原告らは、本件テレビ作品は、本件小説で表現される「紋次郎」の外観上の特徴に、三度笠を大きくし、道中合羽を長くするアレンジを加えており、これを言語化すると①通常より大きい三度笠を目深にかぶり、②通常よりも長い引き回しの道中合羽で身を包み、③口に長い竹の楊枝をくわえ、④長脇差を携えた渡世人となるとして(以下①~④の特徴を有す紋次郎を「本件紋次郎」といいます。)、これら4つの外観表現上の特徴をもって著作物として特定し、個別の写真や図柄等として特定するものではないと主張しました。
原判決は、まず、ポパイ・ネクタイ事件最高裁判決を引用し、一話完結形式の連載小説に登場するキャラクターそのものについては、著作権法2条1項1号にいう著作物とはいえないとした上で、著作権者は、一話完結形式の連載小説に係る著作権侵害を主張する場合、その連載小説中のどの回の文章表現に係る著作権が侵害されたのかを具体的に特定する必要があるとしました。その上で、原告らは著作権が侵害されたとする著作物を上記①~④であると特定するにとどまり、連載小説中のどの回の文章表現に係る著作権が侵害されたのかを具体的に特定するものではないから、主張自体失当であると判示しました。
(2)複製又は翻案該当性(類似性)について
原判決は、上記のとおり、著作物の特定がされていないことを根拠に主張自体失当とした上で、「念のため」として、以下のとおり複製又は翻案該当性についても判断しました。
まず、本件小説の紋次郎の特徴である、渡世人が三度笠を目深にかぶり、引き回しの道中合羽で身を包み、長脇差を携えていたという点は、江戸時代の渡世人の姿としてありふれた事実であり、口に長い竹の楊枝をくわえるという部分を更に加えたとしても、創作的表現という観点からすれば、その記述自体は明らかにありふれている上、本件テレビ作品で加えられた「通常より大きい」三度笠で、「通常よりも長い」道中合羽で身を包んでいるという記述を加えて更に検討したとしても、同じく極めてありふれたものであるとしています。更に、仮に原告らが本件テレビ作品の映像の一部の人物写真の著作権侵害を主張する場合でも、①~④の記述部分がありふれた記述である以上、本件テレビ作品の人物写真と、被告図柄との同一性を検討しうる部分は、創作的表現に該当しないと判示しました。
2. 本判決の内容
本判決は、原判決から一転、被告の行為による原告らの著作物の著作権侵害を認め、原告らの主張する著作権侵害に基づく損害賠償請求を認めました。
(1)特定性について
原告は、まず、一般読者は本件小説の言語表現から本件紋次郎を容易に思い描くことができることを述べた上で、本件テレビ作品紋次郎の画像も本件紋次郎の特徴をそのまま有していることから、本件テレビ作品は本件小説の二次的著作物にあたると主張しました。そして、被告図柄から本件紋次郎の本質的特徴を感得できるうえ、本件紋次郎に依拠していることは明らかであるから、被告図柄は本件紋次郎の表現の翻案であると主張しました。また、二次的著作物である本件テレビ作品の権利関係につき、本件小説の著作者は、本件テレビ作品の原著作者として、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利、すなわち本件テレビ作品の著作権(翻案権を含む)を専有していたと主張しました。
本判決は、原告の主張を概ね採用し、本件テレビ作品が本件小説の二次的著作物であるから、原著作者(本件小説の著作者)は、著作権法28条に基づき本件テレビ作品の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有するとした上で、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決を引用し、本件テレビ作品については、原著作者(本件小説の著作者)の権利と、二次的著作物である本件テレビ作品の著作者の権利とが併存することになったと述べました。その上で、本件テレビ作品が本件小説の二次的著作物であることから、本件テレビ作品紋次郎の画像も、本件小説の二次的著作物であるとして、本件テレビ作品紋次郎の画像と被告図柄とを対比することにより、本件テレビ作品の主人公である紋次郎の画像と被告図柄の対比が明らかになる、と前提づけました。
なお、控訴審において、原告が、原審と同様に「個別の写真や図柄等として特定するものではない」と陳述したのかについては本判決の判決文において明らかにされていませんが、上記のとおり本判決では、本件テレビ作品紋次郎の画像が本件小説の二次的著作物(の一部)であることを前提に、本件テレビ作品紋次郎と被告図柄との具体的・視覚的な対比により著作権侵害の有無が判断されたため、原審で問題となった特定性の議論はなされていません。
(2)複製又は翻案該当性(類似性)について
本判決は、本件テレビ作品紋次郎の画像は、①通常のテレビドラマや映画等で用いられるものよりも大きな三度笠をかぶり、②通常のテレビドラマや映画等で用いられるものよりも長く、模様が縦縞模様である道中合羽を身に着け、③細長い楊枝をくわえ、④長脇差を携えているという特徴をすべて兼ね備える者として表現されているところ、本件テレビ作品の放映前においても、本件小説の前においても、①~④全ての特徴を兼ね備える人物が登場するドラマ、小説が存在したとは認められないから、①~④全ての特徴を兼ね備えるという点が、創作的な表現であり、表現上の本質的特徴部分であると判示しました。
また、被告は、①、②及び④の特徴は江戸時代の渡世人のごく一般的な表現であり、③の特徴については極めてありふれた渡世人の姿に長い棒状のものをくわえさせるというアイデアにすぎないと主張していましたが、本判決は、①及び②が、江戸時代の渡世人のごく一般的な表現であると認めるに足りる証拠がない上、①~④全てを兼ね備えるという点に以前の一般的な渡世人との違いがあるのだから、①、②及び④のみを取り出して創作性がないと判断することは相当でないと判示しました。また、本判決は、本件テレビ作品紋次郎の画像により、①~④の特徴全てを有する人物が具体的に描写されているのであるから、③がアイデアにすぎないとはいえないと判示しました。
そして、本判決は、江差追分事件最高裁判決で示された翻案の定義に従い、被告図柄が、本件小説の二次的著作物である本件テレビ作品紋次郎の画像に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴である①~④を維持しつつ、具体的な表現に手書きによる新たな創作性が加えることにより、これに接する者が本件テレビ作品紋次郎の創作的な表現をなす部分である①~④の特徴を直接感得することができるから、被告図柄は、本件テレビ作品紋次郎の画像の翻案であると判示しました。
Ⅳ. 本判決の検討
本件の著作権侵害につき、原判決と本判決で結論を異にしたのは、原判決では本件小説上の紋次郎のキャラクター像と被告図柄との対比において本件小説の紋次郎の表現上の特徴が著作物として特定されているかが問題となったのに対し、本判決では本件小説ではなく本件小説の二次的著作物である本件テレビ作品の紋次郎の画像(本件テレビ作品紋次郎)と被告図柄との対比における複製権又は翻案権侵害を論点としたため、著作権侵害の対象がドラマの特定の回の画像(本件テレビ作品紋次郎)として当然に特定されていることを前提としたためであると考えられます。特に、原審は連載漫画のキャラクターの著作物性が問題となったポパイ・ネクタイ事件最高裁判決を引用していましたが、本件は、言語の著作物である小説を原著作物として、そのストーリーを映像化した二次的著作物(本件テレビ作品)が存在し、連載小説のキャラクター像を具体化した画像(本件テレビ作品紋次郎)と被告図柄の類似性を問題としたことから、本判決では、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決が引用されたものと考えられます。
また、本判決は、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決以降はじめて、二次的著作物の一部の利用行為による著作権侵害について原著作者の権利行使が問題となった事案だと思われます。キャンディ・キャンディ事件最高裁判決において、二次的著作物(の一部)とされた原画は、原著作物たるストーリー原稿の主人公キャンディに手書きの視覚的表現により新たな創作性が付加されているものでした。一方、本判決において、二次的著作物(の一部)の創作的表現とされた本件テレビ作品の紋次郎の①~④の4つの特徴は、原著作物である本件小説に既に表れていた紋次郎の特徴とほとんど共通しており、新たな創作性が付加されていないもののように読めます。そのため、この新たな創作性の付加の有無の点において、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決とは事案を異にすると考えられます。そして、本判決は、二次的著作物による新たな創作性の付与がない(可能性がある)部分に、原著作者の権利行使を認めている点で注目されます。
さらに、一般に著作権法の複製又は翻案における同一性又は類似性の判断手法には、①二段階テスト(原告著作物の創作性を判断し、被告著作物が原告の創作的部分を利用しているか判断する。)、又は②濾過テスト(まず原告と被告双方に共通する要素を抽出し、当該抽出部分が原告の創作的具体的表現であるかを判断する。)がありうるところ、本判決は、本件テレビ作品の紋次郎と被告図柄の類似性の判断において、いずれの判断手法も採用することなく、両者の類似性を判断しているため、本判決は二次的著作物である本件テレビ作品の紋次郎のどの部分を創作的な表現と判断したのかが明確ではないので、その判断手法にも疑問が残ります。
最後に、本判決がキャラクタービジネスの実務に及ぼす影響にも留意が必要です。
前記(2.(1))のとおり、キャラクターの設定・特徴・人格等の表現は、思想又は感情を創作的に表現した具体的表現とはいえずアイデアにすぎないため、著作物性が認められないのが通常であり、それは原審において原著作物として主張された紋次郎の①~④の特徴について特定性が否定されたことに表れているといえます。しかし、本判決は、原著作物である本件小説で描写された紋次郎の人物像が本件テレビ作品の画像によって視覚表現化されていたことにより、本件小説における紋次郎の人物像がそもそも創作的表現といえるか否かや当該画像のどこに新たな創作的表現が付加されているのかを判断することなく、当該視覚表現化された画像と被告図柄を対比して被告図柄を当該画像の翻案と認定した上で、(著作権法28条を経由して)原著作物の著作権者による権利行使を認めました。そのため、本判決によれば、例えば、本来は言語の著作物である原著作物におけるキャラクター表現だけでは著作物性が認められるか疑義があるような場合であっても(その結果、原著作物の著作権者がキャラクター表現の著作権を権利行使しにくい場合であっても)、それが映像作品によって視覚表現化された場合には、当該映像の一部を切り出したキャラクター画像と被告のキャラクター表現を比較することによって、原著作物におけるキャラクター表現の創作性の有無や当該キャラクター画像に新たに付加された創作的表現の有無の議論をすることなく、原著作物の著作権者はキャラクターの著作権を行使することができることになりますので、原著作物の著作権者によるキャラクターの著作権の権利行使がしやすくなるとも考えられます。この点は、キャラクタービジネスの実務にも影響する可能性があるように思われます。
本判決は、最高裁に上告受理申立てしているようであり、今後の最高裁の判断や議論の動向が注目されます。
- 控訴審係属中に原作者の妻が死亡したため、その子、及び養子の4名が原作者妻の訴訟承継人となりました。
- ただし、キャンディ・キャンディ事件最高裁判決は、実質的な理由を明らかにしていないため、その判例の射程は明らかではありません。
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