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Food & Agriculture Newsletter

食料システム関連法令及び土地改良法の改正

Ⅰ. はじめに

2025年通常国会では、農林水産省が提出した以下の法律案が可決されました。

食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案
土地改良法等の一部を改正する法律案
漁業災害補償法の一部を改正する法律案
森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案

本ニュースレターVol.8では、これらのうち、農業生産及び農産物の生産・加工・流通・販売の観点から特に重要性の高い①及び②の主な内容について紹介します。

なお、①については2025年6月11日に成立、同月18日に公布され、規定ごとに公布日から6か月又は1年以内に施行されることとされています。また、②については2025年3月31日に成立・公布され、翌4月1日に施行されています。

Ⅱ. 食料システム関連法令の改正

1. 改正の背景

今般の世界的なインフレや円安による生産資材価格の急激な高騰を受け、農林水産業及び食品産業における生産・流通・加工・小売等の各段階におけるコストが大幅に上昇しています。各段階における持続的な活動のためには、コスト上昇を踏まえた価格転嫁が不可欠ですが、長期にわたるデフレ経済下での過度な安売り競争の結果、価格上昇が消費行動に与える影響を懸念し、農林水産物や食料品の価格転嫁が進まず、生産コストが十分考慮されない価格形成が行われる状況が続いてきました。

しかし、この状況が続けば国内の農林水産業及び食品産業が立ち行かなくなり、食料安全保障の観点からも強い懸念が生じていました。かかる状況を打破するためには、食料の価格形成にあたってその持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されることが不可欠であり、このことは昨年改正された食料・農業・農村基本法にも明記されました(同法23条)。

また、食料の持続的供給ができるシステムを確立するためには、合理的な費用を考慮した価格形成と併せて、農林水産業と実需者である食品産業の連携強化等の農業・食品産業全体の持続的発展に向けた施策を一体的に推進することが必要です。
かかる背景を踏まえて、「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」(改正後の同法を「食料システム法」といいます。)1及び「卸売市場法」(総称して、「食料システム関連法令」といいます。)が改正されました。

2. 主な改正内容

(1)食品等の取引適正化に関する制度の創設
ア. 合理的な価格形成のための仕組み
自由競争経済において、食品を含め、商品・サービスの価格は需要と供給に基づく市場原理に従って決定されるのが原則です。他方、多くの農林水産物や食品については、劣化が早い等の性質のために価格交渉において買い手が有利な立場に立つことが多く、結果として(廃棄するよりは資金回収ができるので)生産コストを下回る価格での販売を余儀なくされるという事態が発生していました。もっとも、生産コストを下回る価格での販売は、農林水産物及び食品の持続的・安定的な供給能力を損ねるものであり、その改善が強く求められていました。

そこでまず、農林水産大臣は、食品等の取引の状況、取引条件に関する協議の状況その他食品等の取引の実態に関する調査2(「食品等取引実態調査」)を行うものとされ(食料システム法34条)、これにより政策決定の基礎となる取引実態をさらに正確に把握することが企図されています。

さらに、今般の食料システム法において、飲食料品等事業者等3は他の飲食料品等事業者等との飲食料品等4の売買その他の取引において、①取引の相手方5から、その取り扱う当該飲食料品等の持続的な供給に要する費用その他特に当該持続的な供給を図るために考慮を求める事由を示して、取引条件に関する協議の申出がされた場合には、誠実に当該協議に応じるよう努め、また②取引の相手方から、その取り扱う当該飲食料品等の持続的な供給に資する取組の提案がされた場合には、必要な検討及び協力を行うことに努めなければならない(①及び②を総称して、以下「本件措置」といいます。)ものとされました(同法36条)6

最終的な農産物・食品の価格決定は当事者間の合意により行われるものの、生産コストやその上昇について売り手から説明を行い、買い手がこれを誠実に検討することで当事者間で生産コストを考慮した価格形成のための協議が行われる結果、適切な価格転嫁が行われることが期待されています。

上記の措置は、努力義務に留まるため、適切な価格転嫁達成のための実効性確保が問題となります。この点、同法37条1項により農林水産大臣が本件措置に関し、飲食料品等事業者等の判断の基準となるべき事項を定めるものとされており、具体的には今後定められる省令により各事業者が実施すべき行動規範(判断基準)が定められることとされています7。そして、本件措置の適確な実施を確保するために必要な場合には農林水産大臣による指導・助言が行われ、また上記行動規範(判断基準)に照らして対応状況が著しく不十分であるような場合には勧告、これに従わない場合には公表といった措置を採る(同法38条及び39条)ことで、合理的な価格形成に係る実効性を確保することが意図されています。また運用面でも、各地に専門職員を配置し相談窓口・違反行為の通報先とすることで、不適切な行為を監視し、さらに農林水産大臣が、食品等の取引に関して不公正な取引方法に該当すると思料するときは公正取引委員会へその事実の通知を行う(同法52条)ことで、関係省庁間で連携して対応することが想定されています。

イ. コスト指標の作成
合理的な価格形成のための交渉を行うためには、農産物・食料の生産・製造・加工・流通・販売等の各段階でどの程度の費用が掛かっているかを、具体的な根拠をもって示すことが重要です。

そこで、農林水産大臣が指定した飲食料品等8(以下「指定飲食料品等」といいます。)について、当該指定飲食料品等ごとに、下記ウ記載の要件を満たす団体がコスト指標9を作成し、公表するものとされました(食料システム法42条1項)。前記ア記載の価格転嫁のための交渉にあたっては、かかるコスト指標を活用し、生産コストやその上昇について説明するに際しての具体的根拠として活用することが期待されています10

もっとも、農産物の生産コストは地域、農法、経営方針等によって様々です。例えば、有機農業のようにコストは通常の栽培方法よりも高くなるものの、付加価値も高まるような場面では、通常の農法を前提としたコスト指標を利用することは適切ではないと考えられます。そこで、まずは全国各地での一般的な栽培方法を想定したコスト指標を作成し、その後立地条件や農法等の観点からバリュエーションを持たせたコスト指標を作成していくことが現実的な方法論であると指摘されています11。そのため、今後のコスト指標の作成状況に留意しつつ、その利用にあたっては自らが取り扱う農産物や商品に適した内容であるかを検討することが必要です。

ウ. コスト指標の作成団体
農林水産大臣は、指定飲食料品等に関するコスト指標の作成団体として、当該指定飲食料品等に係る飲食料品等事業者等又はこれが主たる構成員若しくは出資者となっている団体が組織する団体であって、食料システム法42条4項の要件を満たす者を認定することができるとされています(同法42条1項)。

農産物・食品の価格については、より高く売りたい売り手とより安く買いたい買い手の利益が相反することから、価格交渉の基礎となるコスト指標の作成団体は公平性・公正性が求められます。そのため、コスト指標作成団体として認定されるための要件として、①その業務規程の内容が、取引における持続的な供給に要する費用の明確化に資するものであることや、②生産・製造・加工・流通・販売のうち少なくとも複数の段階について、各段階を代表すると認められる事業者・事業者団体の参画が必要であること等が含まれています(同法42条4項)。手続的にも、コスト指標作成団体の認定にあたっては、農林水産大臣は、生産・製造・加工・流通・販売の全ての段階について各段階を代表すると認められる利害関係人の意見を聴くこと、及び公正取引委員会と協議することが規定されています(同法42条5項及び6項)。

コスト指標の作成にあたっては、各事業者の原価情報を収集する必要がありますが、これは営業秘密に属する情報であるため、認定されたコスト指標作成団体の役職員又はその地位にあった者は、法令上の守秘義務を負い、違反した場合は50万円以下の罰金刑が科されることとされています(同法50条及び56条)。

(2)食品等の持続的な供給の実現に向けた事業活動の促進
ア. 食品等の持続的な供給に資する事業活動計画の認定制度
食品等の製造、加工、流通又は販売の事業を行う者(「食品等事業者」)は、以下の①から④の各事業(総称して、「安定取引関係確立事業活動等」といいます。)に関する計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができます(食料システム法6条、8条、9条、10条)。

安定取引関係確立事業活動(農林水産業と食品産業の連携強化)12 
流通合理化事業活動(食品等の流通の効率化、付加価値向上等)13 
環境負荷低減事業活動(温室効果ガスの排出量の削減等)14
消費者選択支援事業活動(消費者が持続可能性に配慮した物の選択を行うことに資する販売方式の導入等)15,16 

また、複数の者が連携して行う、食品等事業者間の取引の機会の創出、技術に関する研究開発及びその成果の移転の促進、市場に関する調査研究及び情報提供、経営能率の向上の促進、資金の融通の円滑化、研修その他の上記①から④の各活動に対する支援の事業(「連携支援事業」17)を実施しようとする者は、当該事業の実施に関する計画(「連携支援計画」)を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができます(同法11条)。

イ. 支援措置
上記の各事業に係る計画について農林水産大臣の認定を受けた場合、その事業に応じて主に以下の支援措置等を受けることができるとされています。

日本政策金融公庫による長期低利融資(安定取引関係確立事業活動等)(食料システム法15条)
農研機構による研究開発設備の供用(安定取引関係確立事業活動等)(同法14条)
日本政策金融公庫による債務保証(海外における流通合理化事業活動)(同法16条)
補助金等の交付の対象となる事業において取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、その有効活用のため、別途の承認を得ることなく、補助金等の交付目的以外の目的で使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供することが可能となる(連携支援事業)(同法18条、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条)
中小企業経営強化税制、カーボンニュートラル投資促進税制等の税制特例措置

(3)卸売市場法の改正
農畜産物の多くは、卸売市場を経由して流通するため、合理的な価格形成の実効性を確保する観点から、中央卸売市場又は地方卸売市場の開設者は、指定飲食料品等について、食料システム法42条1項1号に定めるコスト指標その他省令で定める事項を各卸売市場において公表するものとされました(改正後卸売市場法4条及び13条の各5項3号ハ)。

Ⅲ. 土地改良法の改正

1. 土地改良の意義及び改正の背景

(1)土地改良の意義
食料生産の基盤である農地を維持・確保するためには、農業生産基盤の整備・保全により、良好な営農条件を備えた農地を確保する必要があります。特に、安定的に営農を継続するには、農地へ農業用水が安定供給されるとともに雨水等が適切に排水される必要があり、ダムや農業用ため池を含む農業水利施設その他の共同利用施設を適切に整備・保全していくことが必要です。

土地改良事業は、農地の区画整理や農業用用排水施設、農道等の土地改良施設の新設・変更・管理等、農業生産の基盤の整備・開発を行うことで、農業の生産性向上、農業総生産の増大、農業構造の改善等を図ることを目的としています。

かかる事業自体は古くから各地で実施されており、法制という観点からは戦後の農地改革を踏まえた土地改良法が1949年に制定され、現在に至るまで複数回の改正が行われています。

(2)今般の改正の背景
農業水利施設のうち、基幹的な施設(「基幹的農業水利施設」)18については、その大半が標準的耐用年数を超過しており、計画的な更新が必要とされています。一方で、地方部の少子高齢化・過疎化に伴い地域の農業水利施設等の保全に関する共同活動が将来的に立ち行かなくなる可能性もあり、国・自治体の関与強化を含む適切かつ継続的な保全体制の確立が急務とされています。

また、今日の災害の激甚化及び頻発化の一方、施設の老朽化等に伴い、その損壊による被害拡大のリスクが高まっており、事前の対策及び事後的な対応を拡充する必要があります。
加えて、農業者が減少する中で、地域の実情を踏まえたきめ細かな基盤整備や、スマート農業の導入等のための情報通信基盤の整備の促進が必要とされています。

このような課題の下、昨年改正された食料・農業・農村基本法に農業生産基盤の「整備」に加えて「保全」に必要な施策を講じることが明記され(同法29条)、その具体化の一つとして今般の土地改良法の改正が行われました。

今般の改正の背景

https://www.maff.go.jp/j/law/bill/attach/pdf/250214-1.pdf

2. 主な改正内容

(1)基幹的農業水利施設の計画的な更新に関する措置
土地改良事業により農業水利施設を含む農業生産基盤の整備・保全が行われると、耕作者や土地所有者等(「農業者」)がその利益を享受するので、土地改良事業は農業者が自ら申請し、またその費用の一部についても農業者が負担する(残りは国庫や地方自治体の負担となる)のが原則です。

もっとも、農業者の高齢化及び減少が進み、また農業経営基盤が弱体化している今日においては、農業者自身が将来の農業生産性の向上のために、自ら費用負担して土地改良事業を実施し、またその整備を行うインセンティブが低下しつつあります。この状況が進行すると、農業水利施設の老朽化が進む等農業生産基盤の整備・保全が進まない結果、農業生産性が上がらず、他方で施設の損壊等による周辺地域への被害拡大が懸念されます。

そこで、国又は都道府県の発意により、頭首工19や用水機場20等の基幹的農業水利施設につき更新事業を行い得るものとされました(土地改良法87条の2第1項3号)。

もっとも、下記(2)の急施の事業と異なり、国等の発意により実施する場合でも原則として農業者の3分の2以上の同意が必要とされており21、また費用負担についても、農業者負担が発生する場合があります22

農業者のみでは、農業水利施設の適切な更新の判断が難しく、また事業実施に伴う手続が負担となっている等の理由から土地改良事業の申請が進んでいない一方、地域における農業生産活動を継続するうえで特に重要な基幹的農業水利施設についてはその機能保全が不可欠であることから、国や都道府県が施設の定期的な診断と劣化予測によって更新の適否を判断し、事業実施のための諸手続を主導することで基幹的農業水利施設を計画的に更新することが企図されています。

大堰頭首工

大堰頭首工
https://osakikoudo.jp/fieldmuseummap/iwadeyama/

(2)防災・減災、国土強靭化のための措置
土地改良事業は農業者が自ら申請するのが原則ですが、農業水利施設の損壊により周辺地域に被害が生じるおそれがある場面や、事故・災害による被害防止や早期復旧を図る必要がある場面では、農業者自身の申請を待つことなく迅速に土地改良事業を実施する必要があります。

そこで、土地改良法は、農業者の申請・同意なく特例的に急速に事業を実施できる「急施」の事業に係る制度を設けています。かかる事業の場合、農業者の申請や同意がないことから、農業者に土地改良事業に係る負担(土地改良事業完了後の保全のために従前よりも追加で必要となる負担を含みます。)は求められないこととされています。

今般の改正では、近年の災害の激甚化及び頻発化や施設の老朽化等を踏まえて、防災・減災及び国土強靭化の観点から、急施の事業の範囲が拡充されました。

ア. 急施の防災事業の拡充
国又は都道府県が、農業者の申請・同意無くして行うことができる急施の防災事業として、老朽化等により脆弱化し、決壊その他の事故による被害を生じさせるおそれがある23農業用用排水施設の変更及び同等の機能を有する代替的農業用用排水施設の新設が含まれることになりました(土地改良法87条の4)。例えば、施設の老朽化によるひび割れや漏水により事故が生じるおそれがある場合の事前対策を実施することが想定されています。

イ. 急施の復旧事業の拡充
国、都道府県又は土地改良区が、農業者の申請・同意無くして行うことができる急施の復旧事業として、①原形復旧だけでなく再度災害による被害を防止(改良復旧)24するための事業、及び②突発事故被害と類似の被害を防止するための事業25が追加されました(土地改良法49条、87条の5)。

(3)地域の農業水利施設等保全に関する措置
高齢化が進み、またその数が激減しつつある農業者が、自ら農業水利施設の更新判断を行い、また事業実施に伴う手続を行うことは困難になりつつあります。一方、かかる施設は基幹的なものから末端のものまで農業生産活動を継続するうえで不可欠であることから、農業者が認可を受けて設立した土地改良区が、市町村その他の関係者と連携して「連携管理保全計画」(水土里ビジョン)を作成し、都道府県知事からの認可を受けたうえで、様々な関係者が連携して農業水利施設等の保全に取り組むための制度が土地改良法上に位置づけられました(同法57条の11から15)。

(4)スマート農業や担い手のニーズに対応した基盤整備を推進するための措置
ア. 農地中間管理機構関連事業の拡充
農地中間管理機構(「農地バンク」)は、散在する農地を一手に引受け、これを意欲ある営農者にまとめて貸し付ける事業等を行うことで、農地の集約化・大規模化にあたって重要な役割を果たしています。その一環として、都道府県が主体となって農地バンクが権利を有する一定の農用地について農業者の費用負担によらない土地改良事業を行うことができるものとされており、今般、①その実施主体に市町村が追加された26(土地改良法96条の4)ほか、②かかる事業の対象として農地バンクが所有権を有する一定の農用地が含まれることとなりました27(同法87条の3、農業経営基盤強化促進法22条の6、農地中間管理事業の推進に関する法律8条)。

イ. 情報通信環境整備事業の創設
スマート農業サービス活用のためには良好な通信状態を確保できることが必須の条件であるものの、中山間地域や地方における農地では、必ずしもこの条件が充足されていない場合があることが報告されています。そのため、スマート農業の導入を促進するためには情報通信環境の整備を進めることが必要であり、今般の改正により農業用用排水施設の管理を行う土地改良区が、都道府県知事の認可を受けて単独で情報通信環境を整備する事業を行うことができるものとされました(土地改良法57条の9及び10)。

Ⅳ. おわりに

今般の食料システム関連法令及び土地改良法の改正は、農産物・食品の価格転嫁の難しさ及び農業生産に不可欠な農業水利施設の老朽化等というわが国の食料・農業分野が直面する大きな課題を解決するための施策を具体化した重要なものであるといえます。今後、これらの法令を活用してこれらの課題の解決を図ることが期待されますが、その運用面については明確ではない点が存在します。とりわけ、食料システム法については、今後価格転嫁交渉の実効性確保を目的とするガイドライン等が策定されることが予定されており、その内容については引続き注目することが肝要です。

本ニュースレターでは、今後も農林水産業・食料システムに関連する動向・アップデートを継続的にお届けする予定です。

  1. 今般の改正により、名称が「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」に改められました。
  2. 生産・製造・加工・流通・販売の各段階における取引を対象として行われ、価格交渉や商慣習といった取引の状況、費用の考慮の有無を含む取引における協議の状況等も調査対象に含まれるものとされています(2025年4月23日衆議院農林水産委員会宮浦総括審議官発言)。
  3. 飲食料品等の製造、加工、流通又は販売の事業を行う食品等事業者及び飲食料品等の生産の事業を行う農林漁業者をいいます(食料システム法33条3項)。
  4. 食品等のうち、飲食料品及びその原料又は材料として使用されるもの(農林水産物又は農林水産物を原料若しくは材料として製造し、若しくは加工したものに限る。)をいうものとされており(食料システム法2条10項)、本件措置の対象として花卉は含まれません。もっとも、「食品等」の定義には花卉も含まれる(同法2条1項)ため、花卉も取引実態調査の対象になります(同法34条)。
  5. 努力義務の対象は飲食料品等事業者等とされており、農林漁業者、食品製造業者、食品流通業者、食品小売業者、外食業者の全てが含まれます。
  6. 食品は品質劣化が早く取引上の地位に格差が生じやすいことを踏まえ、下請法と異なり、食料システム法に基づく本件措置は、法人の資本金の多寡や取引形態にかかわらず適用され、また個人が当事者となる場合にも適用されます。
  7. 例えば、費用の考慮に関しては、売主側としては自らの費用を把握することや、費用に変化があった場合にその水準や要因について誠実に説明すること、買主側としては協議の申し出があった場合に速やかに応諾したり、どのように費用を考慮したのかを誠実に説明することが想定されています。加えて、不適切な商慣習については改善に向けて積極的に提案したり、前向きに検討し改善に向けて協力することが期待されています(2025年6月3日参議院農林水産委員会宮浦総括審議官発言)。さらに、その具体的な内容について、2025年6月25日に開催された「適正な価格形成に関する協議会」において議論が行われています。
  8. 時の経過によりその品質が特に低下しやすいこと、日常の生活必需品として日々その売買がされること等の性質により、十分な協議が行われずに取引条件が決定される傾向があることその他の事情から、その飲食料品等事業者等間の売買その他の取引においてその持続的な供給に要する費用について認識しにくいものとされており(食料システム法41条1項)、当初は、米、(一部の)野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆の4つについて指定することが協議・検討されています。
  9. 生産・製造・加工・流通・販売の各段階におけるコスト(肥料・飼料等の資材費、光熱費、輸送費、人件費等)を積み上げて、消費者の手元に届くまでのコストを示すことが想定されています。
  10. 活用方法としては、コスト指標が変化した場合に、①変化率を踏まえた価格改定の実施や、②これを価格再交渉の契機とする等が考えられ、当事者間で予め合意しておくことが望ましいと考えられます。
  11. 2025年4月23日衆議院農林水産委員会宮浦総括審議官発言。また、都道府県等の行政単位ではなく、農業生産の実態を踏まえて、出荷団体等の産地単位で策定することが念頭に置かれています。
  12. 食品製造業者が、原材料の産地の近くに一次加工施設や冷凍冷蔵施設を整備することで、農業者との契約取引を拡大し国産原材料の比率を高める事業が一例として挙げられています。
  13. 食品流通業者が、物流施設においてパレットに荷を載せる自動化機械(パレタイザー)を導入することで、出荷の際の積荷作業を効率化するような事業が一例として挙げられています。
  14. 外食事業者が、店舗において油の酸化防止装置を導入することで、省エネや油の使用量削減に資する事業が一例として挙げられています。
  15. 食品小売事業者が、売り場等で映像配信用のディスプレイや電子ポップを整備することで、消費者に有機農産物や生産現場の理解醸成を促す事業が一例として挙げられています。
  16. 取り組もうとする事業構想の内容が4種類の計画のうち複数にまたがるような場合には、手続の煩雑さを軽減する観点から、複数の計画を一括して申請することが可能であるとされています(2025年4月23日衆議院農林水産委員会庄子大臣政務官発言)。
  17. 地方公共団体、商工会、金融機関等の地域の協力者が事業構想の策定段階や事業開始後の販売先の確保等に関する計画を策定して支援する事業が想定されています。
  18. 例えば、機能が低下すれば地域農業に重大な影響を及ぼす、受益面積が3,000haを超えるような大規模な施設をいうとされています(2025年3月18日衆議院農林水産委員会前島農村振興局長発言)。
  19. 川をせき止めて、農業用水を用水路に取り入れる施設。
  20. 河川、湖沼、貯水池、ため池あるいは農業用水路から必要な農業用水を取水し、機械的な動力で揚水し、水頭を確保することを目的として設置された施設。
  21. 2025年3月18日衆議院農林水産委員会前島農村振興局長発言、土地改良法87条の2第3項。
  22. 受益面積が7,000haを超えるような水利施設については、公共性が特に高いことから、国が70%、残りは地方公共団体が負担することとされ、農業者負担は求めない取り扱いとされています。受益面積がそれ以下の施設についても、国と地方公共団体が大部分を負担することとされています(2025年3月27日参議院農林水産委員会前島農村振興局長発言)。農業者負担がある土地改良事業の実施に際しては、大規模経営を実施する経営体について賦課金が大きくなり得るため留意が必要です。
  23. ひび割れや漏水の有無等の施設の状況を客観的に見て判断されるものとされています(2025年3月18日衆議院農林水産委員会前島農村振興局長発言)。
  24. 例えば、豪雨で大規模な被害が発生した場合、現行の設計指針に基づいて雨量だけでなく耐震性等も考慮して復旧事業が行われることとされており、実際に発生した災害以外の災害による被害防止の機能が発揮されることが想定されています(2025年3月18日衆議院農林水産委員会前島農村振興局長発言)。
  25. 例えば、パイプラインの破裂のように老朽化による事故が発生した施設で引続き起きかねない類似の被害を防止するための対策が想定されています。その判断にあたっては、事故が発生した施設と同一の施設において、材質や施工時期等の条件が同等であるかが考慮されるものとされています(2025年3月18日衆議院農林水産委員会前島農村振興局長発言)。
  26. これに伴い、より地域のニーズに即した事業の実施が可能になることが期待されています。
  27. 今般の改正前は、農地バンクが農地中間管理権を有する農地のみが対象とされており、農地バンクが所有権を有する場合は農地中間管理機構関連事業の対象とはされていませんでした。
     
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