(本手引きより抜粋)
Ⅰ. 個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しの制度改正方針
1. はじめに
2026年1月9日、「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しの制度改正方針」(以下「本制度改正方針」といいます。)が公表されました。本制度改正方針は、個人情報保護法の次期改正の基本的な方向性を示すものであり、実務に影響を及ぼす重要な公表です。
直近の改正動向として注目されるのは、2026年3月18日に開催された第352回個人情報保護委員会において、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案について」が議題として取り上げられている点です。同委員会では、当該議題に関する資料について「法律案の閣議決定後に、閣議決定された関係資料を別途掲載する予定」とされており、現時点で、法案本文等の公表は確認できませんが、少なくとも制度改正方針の公表時点から、法案化に向けた具体的作業が相当程度進んでいることがうかがわれ、引き続き注視が必要です。
以下では、本制度改正方針の概要をご紹介いたします。詳細については、本制度改正方針や、個人情報保護委員会事務局が公表する本制度改正方針についての図解入り資料もご参照ください。
2. 本制度改正方針の概要
(1) 適正なデータ利活用の推進
① 個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得について、統計情報等の作成(統計作成等であると整理できるAI開発等を含む1)にのみ利用される場合は本人同意を不要
② 目的外利用、要配慮個人情報取得及び第三者提供に関する規制の緩和
- 取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな取扱いである場合2は本人同意を不要
- 生命等の保護又は公衆衛生の向上等のために取り扱う場合における同意取得困難性要件を緩和3
- 学術研究例外の対象である「学術研究機関等」に医療の提供を目的とする機関又は団体が含まれることを明示
(2) リスクに適切に対応した規律
① 16歳未満の未成年者の個人情報等の取扱い等についての規制導入
- 同意取得や通知等について当該本人の法定代理人を対象とすることを明文化
- 保有個人データの利用停止等請求の要件を緩和
- 未成年者の個人情報等の取り扱い等について、本人の最善の利益を優先して考慮すべき旨の責務規定の追加
② 顔特徴データ等について、その取扱いに関する一定の事項の周知を義務化し、利用停止等請求の要件を緩和するとともに、オプトアウト制度に基づく第三者提供を禁止
③ データ処理等の委託を受けた事業者について、委託された個人データ等の適正な取扱いに係る義務の見直し4
④ 漏えい等発生時について、本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合は、本人への通知義務を緩和
(3) 不適正利用等禁止
① 個人情報ではないが、特定の個人に対する働きかけが可能となる情報について、不適正利用及び不正取得を禁止
② 本人の求めにより提供を停止すること等を条件に同意なく第三者提供を可能とする制度(オプトアウト制度)について、提供先の身元及び利用目的の確認を義務化
(4) 規律遵守の実効性確保のための規律
① 速やかに違反行為の是正を求めることができるよう命令の要件を見直し、さらに、本人に対する違反行為に係る事実の通知又は公表等の本人の権利利益の保護のために必要な措置をとるよう勧告・命令することも可能とする規定の整備
② 違反行為を補助等する第三者に対して当該違反行為の中止のために必要な措置等をとるよう要請する際の根拠規定の創設
③ 処罰対象の拡張、刑事罰の強化5
④ 経済的誘因のある、大量の個人情報の取扱いによる悪質な違反行為を実効的に抑止するため、重大な違反行為6により個人の権利利益が侵害された場合等について、当該違反行為によって得られた財産的利益等に相当する金額の課徴金の納付命令(課徴金制度の導入)
Ⅱ. AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き(案)
1. はじめに
2026年2月18日から同年3月19日まで、経済産業省は、AI利活用の場面における不法行為法等に係る解釈適用上の論点及び考え方を取りまとめた、「AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き(案)」(以下「本手引き」といいます。)を公表7し、パブリックコメントを募集しました。今後、パブリックコメントの内容も受けて、本手引きの最終的な内容が確定されることになりますので、事業者においては最新のアップデートについても引き続き注視する必要があります。
本手引きでは、AIを用いたサービスやシステムが事故に寄与した基本的な想定事例を題材に、主として不法行為法等の観点8から解釈適用上の論点及び考え方の検討・整理が行われました9ので、以下ではその概要をご紹介いたします。
2. 本手引きの概要
本手引きにおいては、AIの利活用に関する不法行為責任の検討に当たり、AIの類型を最終的に人の判断や行動を介在させることが予定されている類型(補助/支援型AI)と、人の判断や行動の全部又は一部を代替する前提で提供され、AIの判断に依拠しながら用いることが予定されるAI(依拠/代替型AI)とに分類したうえで、想定事例も交えながら、それぞれのAIの利用者と開発者・提供者ごとに分けて、分析・整理がなされています。補助/支援型AI及び依拠/代替型AIの概要及びそれぞれの責任判断の方向性については、下図のとおり整理されていますが、詳細については、本手引きや、当事務所のData Security Newsletter 2026年3月号もご参照ください。

また、本手引きにおいては、上記の実体法上の論点に加えて、立証上の論点や国際的な紛争に関する手続上の論点についても触れられています。
Ⅲ. 医療分野のデータ法制に関する最新動向
1. 医療等情報の利活用の推進に関する検討会 中間まとめの公表
2026年1月23日、内閣府に設置された、医療等情報の利活用の推進に関する検討会(以下「本検討会」といいます。)が「中間まとめ」(以下「本中間まとめ」といいます。)を公表しました。
医療データについては、医療の質の向上等に向けた一次利用に加えて、有効な治療法・医薬品・医療機器等の研究開発、効果的・効率的な医療提供体制の構築等に資するため、研究者や企業等による医療データの利活用(二次利用)をさらに円滑化することが重要です。「デジタル社会の実現に向けた重点計画」12や「規制改革実施計画」13でも、医療データの二次利用の円滑化に向けたグランドデザインや法整備等が検討事項とされたことを受けて、2025年9月から8回にわたり、本検討会が開催されてきました。本中間まとめは、その議論の状況を中間的に取りまとめたものです。
本中間まとめでは、まず、医療等情報の利活用の基本的な理念として、目指す社会像、基本的な考えや方向性が示されています。EUのEHDS(European Health Data Space)規則14の考え方が参考として紹介され、一次利用と二次利用を一体的に捉える視点が重要であるとされています。また、本検討会の主要な論点として設定されていた、①対象となる医療等情報、②医療等情報の収集方法等、③患者の権利利益及び情報の保護等、④情報連携基盤の在り方等、⑤費用負担、の5項目について、本検討会における各構成員の主要な意見が紹介されています。
本検討会は、引き続き、中間まとめで整理した論点や意見等、現行制度や関連する他制度の動き、法制上の観点も踏まえながら、令和8年夏目途の議論の整理に向けて検討を行っていくとされています。また、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によると、それに伴って必要とされた措置内容が法改正を要する場合には、令和9年の通常国会への法案提出を目指すこととされており、今後、法案の提出を含め、さらなる動きがある可能性があります。
2. 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 改正案の公表
2026年3月19日、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「倫理指針」といいます。)の改正案(以下「本指針改正案」といいます。)が公表されました15。
倫理指針については、個人情報保護法の関係性が不明確な部分があることや、インフォームド・コンセント(以下「IC」といいます。)の手続が複雑すぎることにより、対象研究を停滞させる一因となっていること等が指摘されていました。そこで、省庁横断的に設置された、生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議(以下「合同会議」といいます。)において、見直しの方向性が議論されていました16。
本指針改正案には、対象研究を、「侵襲・介入を伴う研究」、「試料を用いる研究」及び「情報のみを用いる研究」の3つに大別したうえで、それぞれのリスクに応じて同意取得の手続を見直すこと、及び、ICについて「文書IC」、「口頭IC」や「適切な同意」という用語が用いられていたものを「IC」のみに統一し、同意取得の手続をICとオプトアウトの2本柱へと見直すこと等が含まれています。
今後のスケジュールとしては、2026年6月までに、本指針改正案及び「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」(以下「ガイダンス」といいます。)の改正案を整理し、同月以降に改正倫理指針の告示やガイダンス改正案の公表を行うことを想定しています。また、個人情報保護法の「いわゆる3年ごと見直し」と関連する部分についても、具体的な議論が可能になった時点で検討を実施するものとしています17。倫理指針及びガイダンスは、適正な生命科学・医学系研究を実施するためにその遵守が求められるものではありますが、今回の改正は対象研究の推進や研究機関の負担軽減にも資するものであり、今後の動向が注目されます。
Ⅳ. 標準必須特許(SEP)に基づく特許権侵害訴訟の審理要領等
2026年1月、東京地方裁判所知的財産権部は、「標準必須特許(SEP)に基づく特許権侵害訴訟の審理要領」及び「SEP調停(SEPJM)の審理要領」を公表しました。標準必須特許(Standard Essential Patent。以下「SEP」といいます。)とは、技術標準の規格に準拠した製品を製造するためにその発明を実施することが必須とされる特許であり、標準化団体(Standard Setting Organization)が定める所定の手続(いわゆるFRAND宣言等)を経たものをいいます。新しく公表された審理要領は、日本におけるSEP紛争の解決手続を体系的に整理し、グローバルなライセンス紛争への対応を強く意識した内容となっており、実務に重要な影響を及ぼすものとして注目されます。
まず、SEP訴訟に関する審理要領においては、グローバルなFRAND条件によるライセンス料の合意形成を中心に据えた審理運営が明確に示されています。裁判所は、原則として第1回期日において和解を勧試し、和解交渉のための期日を計画的かつ集中的に指定します。審理の初期段階から裁判所が和解を積極的に促す運用が想定されており、当事者間でのライセンス条件の早期合意が強く志向されています。そのため、当事者には、具体的なロイヤルティ提案や関連する販売データ等の提出が求められるなど、主張立証の在り方についても実務的な指針が示されています。
次に、SEP調停(SEPJM)に関する審理要領は、SEP訴訟に関する審理要領と同様に、FRAND条件によるライセンス料の合意形成を図る手続としてSEP調停を位置付けています。その特色として、国際性(グローバルスタンダードを参照した算定方式等)、迅速性(原則3回以内の調停期日)、及び専門性(知財部裁判官1名と弁護士や弁理士などの専門家2名で構成される調停委員会)の三点が掲げられています。
これらの審理要領の公表により、日本がSEPに関するグローバル紛争解決のフォーラムとしての役割を一層強化していく方向性が示されたといえます。今後、実際の運用状況等、日本全体としてのSEP紛争解決の枠組みの発展が注目されます。
Ⅴ. 文化庁 著作権者等の情報の登録・検索システムを開始
文化庁は、2026年2月26日、著作物の利用の際に許諾を取得するに当たって権利者の探索を効率化するため、「分野横断権利情報検索システム」と「個人クリエイター等権利情報登録システム」という2つの仕組みの運用を開始しました。
著作物を利用する場合、著作権法上の例外に該当しない限り、権利者や著作権等管理事業者(権利者からの委託に基づき著作権等の管理を行う事業者)から許諾を得る必要があります。そのため、利用希望者は、まず権利者や著作権等管理事業者を特定し連絡を取る必要がありますが、これらの連絡先の特定は容易ではなく、探索に大きな負担が生じていました。
「分野横断権利情報検索システム」は、利用したい著作物の分野・種類・利用方法に応じて、関連する著作権等管理事業者や権利者団体のウェブサイトを検索できる仕組みです。これにより著作物等の利用希望者は権利者に関する情報を探すために参照すべきウェブサイトを把握でき、権利者の探索の効率化が見込まれます。
「個人クリエイター等権利情報登録システム」は、管理事業者に管理を委託していない個人クリエイター等が、自らの著作物に関する権利情報や連絡先、利用可否に関する意思を登録できる仕組みです。利用希望者は同システムを通じて権利者の意思を直接確認でき、個別に許諾交渉を行うことが可能となります。
これらのシステムの整備は、2026年4月1日に運用が開始される「未管理著作物裁定制度」と関係しています。同制度は、管理事業者により管理されておらず、かつ権利者の意思を確認できない著作物について、一定の手続の下で利用を可能とする新たな仕組みです。「分野横断権利情報検索システム」は、管理事業者による管理の有無や権利者の意思について確認する手段となるとともに、同システムによる検索することが裁定申請における要件(著作権法67条1項1号)の一つと位置付けられています。また、個人クリエイター等が「個人クリエイター等権利情報登録システム」で著作物等の利用可否に関する意思等の情報を示すことで、同制度の対象から外れることとなります。
Ⅵ. 米国:AIに関する国家政策枠組みの公表ほか
現時点における米国のAI規制は、包括的な連邦法が未だ成立していない一方で、州法が先行して実効的な規制を形成しているというパッチワーク的な構造となっています。このような状況の下で、2026年3月20日、ホワイトハウスは「National AI Legislative Framework」(AIに関する国家政策枠組み)を公表し、連邦レベルでの統一的規制に向け、より具体的な政策方針を示しました。
この枠組みは、2025年12月に公表されたAIに関する過度な州による規制を阻止し連邦レベルでの統一した枠組みの整備を目指す大統領令を受けて策定されたものです。この枠組み自体が法的拘束力を有するものではなく、あくまで議会に対する立法提案として位置付けられていますが、今後の連邦立法の方向性を示すものとして実務上極めて重要といえます。
まず、AI規制について、過度な負担を課す州法は排除されるべきであるとして、統一的な連邦基準を設けるべきであるとの方針が明確にされています。他方で、児童保護など一定の分野については州の役割を残す余地も示されており、全面的な州法排除ではなく限定的な分野において州法の併存が想定されています。
また、規制のアプローチとしては、EUのAI Actのような包括的な規制とは異なり、米国のイノベーション促進と国際競争力を重視した「ライトタッチ」なアプローチが基本的に志向されている一方で、特定の重要なセクターについて法整備を行うことを目指しています。重点領域として、①児童保護、②インフラ・米国のコミュニティ保護、③知的財産、④表現の自由・検閲の阻止、⑤イノベーション促進、⑥教育・労働政策、⑦州法の排除が掲げられています。
もっとも、この枠組みは、議会の立法を前提としているため、その実現可能性はなお不透明な状況です。また、特に、州法の排除については、州における反対の動きも根強い状況です。各州の規制法も続々と成立、施行しており、例えば、カリフォルニア州で成立したフロンティアAI透明性法(SB 53)は2026年1月から適用が開始しています。また、コロラドで成立したAI法も2026年6月に施行が予定されています。
以上を踏まえると、企業としては、短期的には州法への対応を優先しつつも、中長期的にはNational AI Legislative Frameworkに沿った連邦法の整備について、引き続き動向を注視する必要があります。
Ⅶ. ベトナム:個人データ保護法及びその実施に関する政令356号が施行
ベトナムでは、2026年1月1日より、法律の形式としては初めての個人データ保護に関する包括的規制である個人データ保護法(Law No. 91/2025/QH15。以下「PDPL」といいます。)が施行され、また、同法の実施に関する政令356号(Decree 356/2025/ND-CP。以下「政令356号」といいます。)も併せて施行されました。従前のベトナムにおける個人データ保護法制の枠組みとしては、個人データ保護政令(Decree No.13/2023/ND-CP)が中心的な役割を果たしてきましたが、2026年1月1日からはPDPL及び政令356号に基づく個人データ保護規制に従う必要があります。個人データ保護法及び政令356号の内容は非常に多岐にわたりますが、以下では、主要な内容について解説します。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 個人データの分類 |
|
| 同意取得に関する要件 |
|
| 個人データ処理影響評価 |
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| 個人データ越境移転影響評価の実施・報告の免除事由 |
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| 特定分野・範囲の個人データに関する規制 |
|
| 違反時の通知義務・制裁措置 |
|
| 経過措置 |
|
その他、個人データを処理する団体、組織におけるデータ保護部門等のガバナンス体制に関する要件や各処理行為別の規律等多岐にわたる規制がなされているため、個人データを取り扱う各事業者は規制内容を把握し、遵守体制を構築することが重要となります。
- 統計作成等であると整理できるAI開発等がどの範囲を指すかは現時点では不明ですが、今後、ガイドラインや委員会規則等で明確化していくことが想定されます。
- 想定事例として、ホテル予約サイトが予約者の氏名等を第三者にホテルに第三者提供する場合や支払いの委託を受けた送金元金融機関が送金者情報を送金先金融機関に第三者提供する場合等が挙げられており、このような事例で行われる個人データの第三者提供は、契約の履行のために不可欠なものであり、本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかといえると説明されています。
- 「本人の同意を得ることが困難であるとき」のみならず、「その他本人の同意を得ないことについて相当の理由があるとき」についても、本人からの同意取得が不要とされます。
- 委託の実態に合わせた規律を整備する趣旨から、①委託元による委託先の監督等が十分に機能せず、委託先が委託された業務の範囲を超えて独自に個人データ等を利用するケースに対しては、原則として取扱いを委託された個人データ等を当該委託を受けた業務の遂行に必要な範囲を超えて取り扱ってはならない旨の義務を委託先に明文規定により課し、②委託先自らは取扱いの方法を決定しないケース(委託先が委託元から指示された方法で機械的に個人データ等を取り扱うのみの場合)に対しては、委託契約において、取扱いの方法の全部について合意し、かつ委託先における取扱いの状況を委託元が把握するために必要な措置等について合意した場合は、当該委託先に対しては、個人情報保護法第4章の各義務規定の適用を原則として免除することとされています。
- 個人情報データベースを不正に提供した場合の刑事罰が強化される一方で、法人に課される罰金の上限(1億円以下)については、変更はありません。
- 不適正利用の禁止違反、適正な取得違反、第三者提供の制限違反、統計特例への違反(統計目的で取得したデータ等の別目的使用、特例に依拠せず無断で第三者提供)が対象行為とされています。
- 本手引きは、2025年8月19日から2026年1月14日まで、全4回にわたって開催されたAI利活用における民事責任の在り方に関する研究会における議論を通じて取りまとめられました。
- AIの利活用に伴って何らかの損害が生じた際、責任を生じさせる法的な根拠には、主として、契約によらない不法行為責任と、関係当事者間の契約に基づく契約責任があるところ、本手引き内では、不法行為責任を中心に分析が行われており、特に、不法行為責任の中でも、AIの利活用の文脈でも特に争点となりやすいと考えられる一般不法行為(民法709条)及び製造物責任(製造物責任法3条)に焦点が当てられています。
- 本手引き内では、AIの利活用における不法行為責任の判断に当たっては、AIの自律性や不確実性等を踏まえたリスクコントロールの在り方に関するAIガバナンスの考え方が重要な考慮要素となるとされており、AIの開発・利用・提供に携わる事業者に求められるAIガバナンスの内容に関しては、既にAI事業者ガイドラインが策定・公表されており、不法行為責任の検討に当たっても参考となるものとされています。また、本手引きでは、AI事業者ガイドライン上想定される措置について、具体的な想定事例に即した解説もされています。
- 個々の局面において求められる注意義務の水準は、その行為から生ずる危険の大小、被侵害利益の軽重、その職業・地位に置かれた通常人の注意力等に基づいて決定されるとされています。
- 脚注10参照。
- 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和7年6月13日閣議決定)
- 「規制改革実施計画」(令和7年6月13日閣議決定)
- REGULATION (EU) 2025/327 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 11 February 2025 on the European Health Data Space and amending Directive 2011/24/EU and Regulation (EU) 2024/2847
- 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議(第7回) 資料2「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の一部を改正する件(案)」(令和8年3月19日)。
- 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 見直しの方向性について(取りまとめ)」(令和7年12月24日)等。なお、本指針改正案については、文部科学省・厚生労働省・経済産業省「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の一部を改正する件について(概要)」(令和7年12月26日)にその概要がまとめられており、同概要については、令和7年12月26日から令和8年1月25日までパブリック・コメントが実施されました。その結果は、第7回 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 資料1「「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の一部を 改正する件(概要)」に対するパブリック・コメント結果について」(令和8年3月19日)において公表されています。
- 第7回 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 資料1「今後の検討の進め方(案)」(令和8年3月19日)