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REIT Newsletter

6年ぶりとなる上場インフラファンドの新規上場事例の紹介

Ⅰ. はじめに

2026年3月10日、グリーンライト・再エネインフラ投資法人の投資口が株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)のインフラファンド市場に上場されました。上場インフラファンドの新規上場は、2020年2月20日のジャパン・インフラファンド投資法人以来約6年ぶりとなります。

当事務所は、発行体の法律顧問として、資産運用会社の立ち上げ段階から投資法人の上場まで全面的にサポートしました。本ニュースレターでは、本案件の概要を公表情報に基づき一部紹介します1

Ⅱ. グリーンライト・再エネインフラ投資法人の新規上場について

1. 投資法人の概要

(1)概要
グリーンライト・再エネインフラ投資法人(以下「本投資法人」といいます。)は、太陽光発電設備の企画・設計・開発から保守・管理、リパワリング(再生事業)までを手掛けるブルースカイソーラー株式会社(以下「ブルースカイソーラー」といいます。)と、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組む大阪瓦斯株式会社(Daigasグループ)及びJA三井エナジーソリューションズ株式会社の3社をスポンサーとする、投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」といいます。)に基づき設立された国内上場インフラ投資法人です。本投資法人の運用を受託するブルースカイ・インベストメント株式会社(以下「本資産運用会社」といいます。)は、当該スポンサー3社を株主とする資産運用会社です。

本投資法人は、再生可能エネルギー発電設備等への投資を通じて持続可能な社会の実現を目指すことをコンセプトとしており、スポンサーの支援によるリパワリングやPost FITを見据えた売電先確保施策を通じて、保有資産を中長期にわたり活用し、これにより、安定収益の確保と投資主価値の最大化を図り、地域との共生を重視した運用を目指すこととされています。

(2)将来的なNonFITに向けた取組み
2022年度のFIP制度開始により新規FIT認定が限定される中、本投資法人は外部成長を継続するため、FIT案件に加えFIP案件やコーポレートPPA等を含む投資対象の多様化を進め、将来的にはNonFITの太陽光発電設備やスポンサーパイプライン以外の第三者開発物件、太陽光発電設備以外の再エネアセットの取得により、更なる資産規模の拡大を目指すとされています。

(3)将来的な系統用蓄電池等の取得に向けた取組み
本投資法人の規約では、主として再生可能エネルギー発電設備等及び再生可能エネルギー発電設備関連資産を投資対象とされていますが、出力制御による収益機会の逸失への対応や収益源の多様化を目的として、将来的に系統用蓄電池等を取得する可能性があります。規約上は、現物の系統用蓄電池2のみならず、受益権及びそれらを裏付けとする匿名組合出資持分等も投資対象として明記されています。

2. スケジュール

本資産運用会社及び本投資法人の設立から運用開始に至るまでの主要なスケジュールは以下の通りです。

2025年2月21日本資産運用会社による宅地建物取引業法上の取引一任代理等の認可取得
2025年5月28日本資産運用会社による金融商品取引業(投資運用業)に係る登録
2025年6月2日設立企画人(本資産運用会社)による投信法69条1項に基づく本投資法人の設立に係る届出
2025年6月25日投信法166条に基づく本投資法人の設立の登記、本投資法人の成立
2025年7月4日投信法188条に基づく本投資法人の登録の申請
2025年7月17日本資産運用会社による一般社団法人投資信託協会加入
2025年8月4日内閣総理大臣による投信法187条に基づく本投資法人の登録の実施
2026年2月2日東証による本投資法人投資口の上場承認
2026年3月10日東証インフラファンド市場における本投資法人投資口の上場

3. 新規上場に伴う公募増資

2026年2月2日に提出された有価証券届出書並びに2026年2月19日及び2026年3月2日に提出された有価証券届出書の訂正届出書によると、新規上場に伴い、投資口の一般募集が行われ、63,350口の投資口が発行され、3,168口のオーバーアロットメントによる売出しも行われました。

発行価格は、東証の有価証券上場規程施行規則(以下「上場規程施行規則」といいます。)1509条に規定するブック・ビルディング方式(投資口の取得の申込みの勧誘時において発行価格に係る仮条件を投資家に提示し、投資口に係る投資家の需要状況等を把握した上で、発行価格等を決定する方法をいいます。)により決定されました。一般募集の発行価格及びオーバーアロットメントによる売出しの売出価格は1口当たり80,000円、発行価格の総額は5,068,000,000円、オーバーアロットメントによる売出しの売出価額の総額は253,440,000円でした。

また、本投資法人は、第三者評価機関による評価を取得した上で、本投資法人が策定したグリーンエクイティ・フレームワークに則り本投資口を発行しており、当該グリーンエクイティ・フレームワークに則って実施される募集を「グリーンエクイティ・オファリング」と名付けています。本投資法人は、グリーンエクイティ・フレームワークがグリーンボンド原則等の趣旨に準じるものであることを確認するため、第三者評価機関に評価を依頼し、セカンドオピニオンを取得しています。

4. 新規上場に伴う物件取得等

本投資法人は、スポンサーグループによる私募増資に伴い1件、新規上場に伴い、一般募集の対象となる投資口の発行により調達する資金及び借入金により10件、合計11件の太陽光発電設備等を取得しました。取得価格の合計は106.2億円、パネル出力合計は25.2MWです。

本投資法人の取得資産には、発電効率の向上及び発電期間の長期化を企図して、スポンサーグループが太陽光発電設備のリパワリングを実施したものが含まれています。さらに、スポンサーとの提携に基づきPost FIT期間の売電先確保の施策が取られるなど、従前のインフラファンドのIPOとは異なり、Post FITを見据えた複数の取組みが採られていることが特徴的です。

また、インフラファンドでは、資産運用会社の大株主であるスポンサー又はスポンサーグループから資産を取得することが多く、物件取得時の利益相反管理が重要である点はREITと同様です。本投資法人においては、資産運用会社の社内規程として利害関係者取引規程を設け、取引条件の適正性の確保を図っています。

さらに、インフラファンドでは、太陽光発電設備の運営・維持等に係るオペレーター業務やO&M業務をスポンサーグループに委託することがあります。スポンサーグループの関与により適切な運営・維持が期待できる一方で、スポンサーグループに対するモニタリングをどのように行うかがポイントとなります。

本投資法人では、本資産運用会社の利害関係者取引規程に定める利害関係者に該当する発電事業者SPCに太陽光発電設備を賃貸し、当該発電事業者SPCからブルースカイソーラーに対して、オペレーター業務及びO&M業務が委託されています。本資産運用会社のリスク管理方針においては、決算情報等の必要な情報の提供をオペレーターに義務付ける条項を設け、これらに基づき再生可能エネルギー発電設備等の運営に関する実績等を確認するなど、オペレーター選定基準への適合性について継続的にモニタリングを行うこととしています。さらにリスクリミットに抵触した場合には、オペレーター業務委託契約及びO&M契約を解除できる旨を定めています。これにより、スポンサーグループによる運営・維持のメリットを享受しつつ、適切な業務運営の担保を図っています。

Ⅲ. 上場インフラファンドのIPO

1. 上場インフラファンドのIPOとは

インフラ投資法人による上場インフラファンドのIPOの実務は、同じく投資法人が上場する上場REITと共通するところが多くあります。上場REITのIPOに関しては、当事務所の2025年8月14日付REIT Newsletter「4年ぶりとなるJ-REITの新規上場事例の紹介」をご参照ください3

もっとも、上場REITとは異なる点もあり、それらが上場インフラファンドのIPOを行う上でのポイントになります。以下では、上場REITとは異なる上場インフラファンド特有のポイントを紹介します。

2. 投資対象

上場インフラファンドの投資対象資産に係る基準については、投信法、租税特別措置法(以下「租特法」といいます。)、東証の上場規程(以下「上場規程」といいます。)その他の規則及び一般社団法人投資信託協会(以下「投信協会」といいます。)のインフラ投資信託及びインフラ投信法人に関する規則(以下「インフラ投信規則」といいます。)において規定があり、ポートフォリオ全体でこれらすべての基準を満たす必要があります。

まず、投資法人は、投資資産の過半は特定資産である必要があり、特定資産には再生可能エネルギー発電設備(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」といいます。)2条2項)が含まれるため(投信法施行令3条11号)、本投資法人が上場時に保有する再生可能エネルギー発電設備や設備が所在する土地に関する権利は上場インフラファンドの主要な投資対象になり得ます。

近時、一般的な再生可能エネルギー発電設備に加えて、蓄電池への投資も注目を集めています。蓄電池には再生可能エネルギー発電設備に併設される併設型蓄電池と電力系統に直接接続される系統用蓄電池があるところ、併設型蓄電池については再生可能エネルギー発電設備の定義である「再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備」(再エネ特措法2条2項)のうち「附属設備」に含まれ、再生可能エネルギー発電設備に該当すると整理し得るものと考えられます。他方で、系統用蓄電池については、再生可能エネルギー発電設備から独立するものであって附属設備と評価し得ないと考えられることも踏まえて、現時点では、特定資産に該当せず、上場インフラファンドの主たる投資対象とはなり得ないものと考えられます。

また、上場規程上、上場インフラファンドの運用資産等の総額のうち、インフラ資産等(インフラ資産及びインフラ有価証券をいいます。)が70%以上、インフラ資産等、インフラ関連有価証券及び流動資産等を合わせて95%以上であることが求められます(上場規程1505条1項2号a、同号b)。「インフラ資産」は、再生可能エネルギー発電設備、公共施設等運営権、上場規程に定める各種インフラ資産、上記資産を運営するために必要な土地・建物、土地・建物の賃借権等、上記資産を信託する信託受益権などが含まれます。インフラ資産のうち上場規程施行規則に定める各種インフラ資産は、電気工作物、電気通信設備などの所定の資産のうち、公共的な性質を有するものが該当するところ(上場規程施行規則1201条4項各号)、系統用蓄電池については電気工作物として公共的な性質を有するといえるかは、系統用蓄電池の組入比率を検討する際に今後整理が必要になると考えられます4

そして、投信協会が定めるインフラ投信規則によると、インフラファンドは規約において投資法人の資産の総額の2分の1を超える額を、インフラ資産等及びインフラ関連資産に対する投資として運用することを目的とする旨を規定することが必要になるところ、再生可能エネルギー発電設備については認定発電設備(再エネ特措法2条5項)でないとインフラ資産等には含まれない(FIT/FIP認定を受けていない設備はインフラ資産等に含まれない)点も投資対象の観点から留意が必要です。

3. 導管性要件

投資法人の導管性要件との関係では、原則として再生可能エネルギー発電設備と公共施設等運営権以外の特定資産で投資資産の50%超を占める必要があるところ、再生可能エネルギー発電設備を組み込むインフラファンドについては、再生可能エネルギー発電設備が例外的に50%超の計算の基礎に含まれるためには以下の要件を満たす必要があります(租特法67条の15第1項2号ト、租特法施行令39条の32の3第12項)。

令和8年3月31日までに再生可能エネルギー発電設備を取得すること
その投資口が上場されていること
投資法人の規約において、再生可能エネルギー発電設備の運用方法が「賃貸」に限定されていること(匿名組合等の間接保有の場合も同様)

上記の要件を満たした場合、当初20事業年度に限り、再生可能エネルギー発電設備は50%超の計算の基礎に含まれることになります。

なお、東証の「今後のインフラファンド市場の在り方研究会」5は2025年3月に報告書を公表しているところ、同報告書では上記で言及した再生可能エネルギー発電設備を組み込むインフラファンドの導管性要件に関して、再生可能エネルギー発電設備の取得期限及び導管性の適用に係る20年期限の撤廃、賃貸要件の撤廃(匿名組合出資の場合の除外)を提言するほか、系統用蓄電池といった社会において必要とされるアセットの特定資産の追加などの投資対象資産の多様化に向けた制度整備について議論がされていました。令和8年度税制改正の大綱6では、これまで3年ごとに延長されていた上記の要件①に係る取得期限が今回は5年延長されることが明確化されています。

Ⅳ. おわりに

本ニュースレターでは、6年ぶりとなる上場インフラファンドの新規上場の紹介及び上場インフラファンドのポイントを解説しました。上場インフラファンドに関わる皆様の一助となれば幸いです。

  1. 本稿において述べる意見はいずれも筆者らの私見であり、筆者らが所属する組織の見解を示すものではありません。
  2. 「系統用蓄電池」とは、電気事業法2条1項5号ロの「蓄電用の電気工作物」該当物を含むものの、これに限定されません。
  3. より詳細な内容については、天野園子=武内香奈「REITのIPO」(ARES不動産証券化ジャーナルVol.96 February 2026)、一般社団法人不動産証券化協会編『不動産投資法人(J-リート)設立と上場の手引き〔第3版〕』(一般社団法人不動産証券化協会・2016年)をご参照ください。
  4. なお、インフラ投信規則上「インフラ資産」とは、「再生可能エネルギー発電設備」及び「公共施設等運営権」並びに自主規制委員会が指定する資産をいうところ(インフラ投信規則3条4項)、現時点では自主規制委員会による資産の指定はなく、上場規程施行規則1201条4項各号に規定される各種インフラ資産(電気工作物、電気通信設備など)は、投信協会規則との関係ではインフラ資産に含まれない点に留意が必要です。
  5. https://www.jpx.co.jp/equities/products/infrastructure/study-group/um3qrc0000014dqx-att/um3qrc0000014dt2.pdf
  6. https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf

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