Ⅰ. はじめに
2025年7月23日、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所(ICJ)は、気候変動に関する国家の義務についての勧告的意見1(以下「本勧告的意見」といいます。)を発表しました。本件は、ICJがこれまでに扱った中でも最大の事案であり、各国から提出された陳述書の数は91件にのぼり、口頭審理に参加した加盟国数は97カ国にわたります。
本勧告的意見は、全文で140頁にわたる詳細な内容のものであり、国際法上国家が気候変動対策をとる義務を負うことを初めて示した法的見解であって、極めて重要なものといえます。また、米国トランプ政権が気候変動対策に消極的な姿勢を示す中、各国の気候変動対策を後押しするきっかけになる可能性があるという意味でも注目に値します2。
今回のニュースレターでは、気候変動の文脈において極めて重要である本勧告的意見について、本勧告的意見が出されるに至った経緯を説明し、続いてその内容を紹介します。その上で、本勧告的意見がどのような影響を与えるのかという点についてご紹介いたします。
Ⅱ. 本勧告的意見に至った経緯
2021年9月、太平洋島嶼国のバヌアツは、気候変動に関してICJの勧告的意見を求める意向を表明しました。バヌアツにおいては、若者の団体である「気候変動と闘う太平洋島嶼国の学生たち(Pacific Island Students Fighting Climate Change)」が、とりわけ小島嶼国において、気候変動に対処すべく行動を起こすべきであるとして活動を行っており、同活動を受け、上記の意向の表明がなされました。
バヌアツが、他の国連加盟国に対し、国連総会において上記の意向を支持するよう働きかけた結果、総会は、2023年3月29日、ICJに勧告的意見を求める決議を採択しました3。ICJは、総会における上記の決議の採択を受け、2025年7月23日、本勧告的意見を発表しました。
Ⅲ. 本勧告的意見の内容
本勧告的意見は、大きく下記の2つの設問に対応する形でまとめられています。
設問(a) 設問(b) |
本勧告的意見は、裁判官の全会一致で採択されました。以下では、本勧告的意見のうち、上記の2つの設問に対するICJの判断の内容を説明します。
1. 設問(a)(国家が負う義務)について
まず、ICJは、設問(a)について、以下のとおり意見を述べました。
(1)義務の根拠
ICJは、設問(a)についての判断の前提として、適用される法を明らかにしました。具体的には、国際連合憲章の他、①気候変動関連条約(国連気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定)、②慣習国際法、③その他の環境条約(オゾン層の保護のためのウィーン条約(以下「オゾン層条約」といいます。)、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(以下「モントリオール議定書」といいます。)、生物多様性条約、砂漠化対処条約)、④国連海洋法条約、⑤国際人権法を挙げています4。
また、ICJは、上記①から⑤のような環境に関する条約の解釈や慣習法の規則の決定の際の指針となる基本的な原則についても、明らかにしています5。
(2)義務の内容
ア 概要
ICJは、前記(1)記載の適用法に基づき、国家に様々な義務が生じることを確認しています。適用法とそれに基づき生じる義務の内容は、概要、以下の表のとおりです。後記イでは、気候変動関連条約に基づく義務について、後記ウでは、慣習国際法に基づく義務について、それぞれ詳述します。
| 適用法(根拠) | 義務の内容 |
| 気候変動関連条約(国連気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定) |
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| 慣習国際法 |
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| その他の環境条約(オゾン層条約、モントリオール議定書、生物多様性条約、砂漠化対処条約) |
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| 国連海洋法条約 |
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| 国際人権法 |
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イ 気候変動関連条約(国連気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定)に基づく国家の義務11
(ア)国連気候変動枠組条約に基づく義務
ICJは、締約国が、国連気候変動枠組条約に基づき、人為的な温室効果ガスの排出を緩和する等の義務(緩和義務)や、気候変動の悪影響に適応する義務等を負うことを確認しました。
国連気候変動枠組条約の規定が締約国に対して法的拘束力を有し、義務違反の場合には国家の責任が生じ得ることも指摘されています12。
(イ)京都議定書に基づく義務
ICJは、京都議定書の規定の効力を確認する中で、国家による義務の不履行が、国際法上の違法行為を構成する可能性があることを、改めて指摘しました13。
(ウ)パリ協定に基づく義務
ICJは、パリ協定において、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという長期目標が明文化されたことを確認しました。
その上で、ICJは、締約国が、パリ協定に基づき、NDC(国別削減目標)を策定・伝達・維持する義務や、NDC達成を目的として国内緩和措置を推進する義務等を負うものとしました14。
ウ 慣習国際法に基づく国家の義務
ICJは、全ての国家が、国境を越える環境被害を防止する慣習上の義務として、自国領土内又は管轄区域内で行われる活動が他国の環境に重大な損害をもたらすことを避けるため、利用可能なあらゆる手段を用いる義務を負うと述べました15。
また、ICJは、全ての国家が、環境保護のために国家間で協力する義務を負うことを指摘した上で、気候システムをはじめとする複数の国家が共有する資源を保護するためには、国家間での協力が特に重要であることを、改めて強調しました16。
(3)適用法同士の関係性
ICJは、前記(1)の適用法を根拠とする各義務が相互に補完し合う関係性にあるという見解を示しています。例えば、国家が国際人権法に基づく義務を履行する際には、気候変動関連条約や慣習国際法に基づく義務等も考慮に入れることになります17。
また、気候変動関連条約に基づく義務は締約国が負う義務であるのに対し、慣習国際法に基づく義務は、気候変動関連条約の締約国であるか否かにかかわらず、全ての国家が負う義務であるということも指摘されています18。
2. 設問(b)(義務違反の法的帰結)について
次に、ICJは、設問(b)について、以下のとおり意見を述べました。
(1)適用される法
ICJは、設問(b)に適用される義務は、各種条約(特に気候変動関連条約)及び設問(a)において検討された慣習国際法の規則であると判断しています。慣習国際法上の国家責任に関する規則は、その作為又は不作為によりこれらの義務に違反した国家に対する法的帰結の決定にも適用されるとしています。
そして、ICJは、気候システムを含む環境への重大な損害を防止する主要な義務を履行する際に相当の注意義務を履行しなかった国家は、その責任を伴う国際法上の違法行為を構成すると述べています。
ICJは、気候変動関連条約の条文、文脈、目的及び趣旨に照らせば、国家責任の一般的な規則を排除する意図を有していたとの主張を採用することはできないと判断した上、気候変動関連条約に基づく義務違反に関する国家責任及び気候変動の有害な影響に関連する損失及び損害に関する国家責任は、慣習国際法上の国家責任に関する確立された規則を適用して決定されるべきであると結論付けました19。
(2)気候変動の文脈における国家責任の決定
ア 気候変動の文脈における違法行為の帰属主体
(ア)国家の民間主体による温室効果ガス排出等
ICJは、「国家のいかなる機関の行為も、その国家の行為とみなされる」という「国際法上の確立された原則」は、気候変動の文脈においても適用されることを確認しました。
さらに、温室効果ガスの排出を招く民間主体(private actors)の行為に関して、気候変動の文脈における違法行為の帰属は、国家が規制上の適切な注意義務を履行しなかった作為又は不作為を、国家自身に帰属させることを意味するとされています。したがって、例えば、国家が、その管轄下にある私人による排出量の制限に必要な規制措置や立法措置を講じなかったことにより、相当の注意義務を果たさなかった場合、その国家は責任を負う可能性があるとされました20。
(イ)複数の国家の関与
ICJは、気候変動は累積的な温室効果ガス排出によって引き起こされるものの、歴史的及び現在の排出量を考慮することで、各国の地球規模排出量への総合的な寄与を科学的に特定することは可能であり、違法行為を構成するのは、排出物そのものではなく、国家の国際的義務に違反して気候システムに重大な損害を与える作為又は不作為である点であることを指摘しています。ICJは、慣習国際法上の国家責任の規則は、複数の国家が違法行為により損害を引き起こす状況に対応可能であることを指摘しています。
結論として、ICJは、気候変動の文脈において、気候システム及びその他の環境の損害を引き起こす国際違法行為を行った各国家に対し、被害を受けた国家がそれぞれ独立してその責任を主張することができるとしています21。
イ 因果関係に関する問題
ICJは、違法な作為又は不作為と主張される損害との間に十分直接かつ確実な因果関係が存在することを、因果関係の判断の基準としています。そので、気候変動の文脈において因果関係には、以下の2つの異なる要素が含まれることを指摘しています。①特定の気候現象が人為的な気候変動に起因するか否か、②気候変動により生じた損害が、特定の国家又は国家群にどの程度帰属させられるかという点です。②は、国家が損害に関する具体的な請求を行う場合、その請求ごとに具体的に立証される必要があります。①は、科学的な証拠に依拠して検討可能であると指摘されています。
このように、国家の違法行為と気候変動から生じる損害との因果関係は、局所的な汚染源による場合と比較すると強固なものであるとはいえないものの、その特定が不可能であることを意味するものではなく、各事案において具体的な評価を通じて立証する必要があるものであると指摘しています22。
ウ 基礎となる義務のErga Omnesとしての性質
ICJは、気候システムその他の環境から人為的な温室効果ガス排出による保護に関する国家の義務、特に慣習国際法上の重大な越境的被害を防止する義務は、erga omnesとしての性質、つまり、すべての者に対しての義務である(国際社会全体に対して負う対世的義務)としています。ICJは、気候変動枠組条約とパリ協定が、気候変動を「人類共通の関心事」と認め、これに「地球規模の対応」が必要であると規定していることを引用し、これらの条約に基づく国の義務は、erga omnes partesの義務(対世的義務)であると判断しています。
したがって、気候変動緩和義務を含むこのような義務違反に対する責任は、慣習国際法に基づき義務が生じた場合、いかなる国家も主張することができ、また、気候変動関連条約に基づきこのような義務が生じた場合、条約の当事国は当該責任を主張することができるとしています23。
(3)国際違法行為から生じる法的帰結
ICJは、国家の国際法に違反する行為は、その国家の国際責任を当然に生じさせることは確立した法原則であると述べた上、気候変動に関する国際違法行為について、パリ協定上の義務違反、慣習国際法上の義務の違反など、多岐にわたる可能性があると指摘しています。
ICJは、気候システムを人為的な温室効果ガス排出から保護する義務に違反する国際違法行為がもたらす具体的な結果を明確に特定することはできないとしながらも、一般論として、設問(a)で述べられた国家の義務の違反が国家責任法の下で定められたあらゆる法的効果が生じるものとしています。これには、損害の有無にかかわらず適用される停止義務と不反復(再発防止)義務、並びに、完全な賠償を要する結果、すなわち原状回復、補償及び/又は満足を含む法的帰結が生じること、国家の義務違反は、責任を有する国家が違反した義務を履行する継続的な義務に影響を及ぼさないことを確認しています24。
ア 履行義務
ICJは、国家による国際義務違反は、その履行義務を消滅させるものではないため、国家は、義務に違反したとしても、その義務を履行する継続的義務を負うことを述べた上で、これは気候変動の文脈でもあてはまることを確認しています25。
イ 停止義務と不反復(再発防止)の保証
ICJは、慣習国際法上、国際違法行為を行った国家は、その行為が継続中であり、かつ違反の対象となった義務が依然として有効である場合、その行為を中止する義務を負うことを確認しています。そして停止義務については、国家は、自国の温室効果ガス排出を削減し、その他の措置を講じるために利用可能なあらゆる手段を用いることを求められることがあり、その方法及び程度は、義務の遵守を確保するものでなければならないとしています。さらに、責任を負う国家は、再発防止のため、適切に確約と保証をすることを求められる場合があると判示しています26。
ウ 賠償義務
ICJは、賠償は違法行為が行われなかった場合にほぼ確実に存在していたであろう状況を回復するものである必要があると述べ、「完全な賠償」とは、原状回復、損害賠償(金銭賠償)、満足又はそれらの組み合わせによって達成され得るのであり、賠償の性質及び額の適否は特定の事案の状況に依存するとし27、(ア)原状回復、(イ)損害賠償(金銭賠償)、(ウ)満足について個別に論じられています28。
(ア)原状回復
ICJは、環境被害の場合には、違法行為が行われる前の状態へと回復させる原状回復の救済措置が不可能又は困難な場合があることを指摘します。温室効果ガスの排出により引き起こされた気候変動の状況においては、原状回復は、損傷又は破壊されたインフラの再建、及び生態系と生物多様性の回復という形態をとり得るものであり、個別事案ごとに判断されるべきであるとされています29。
(イ)損害賠償(金銭賠償)
原状回復が実質的に不可能である場合、責任を有する国家は損害賠償を行う義務があるとされ、損害賠償は、被害を受けた国家又はその国民が被った金銭的に評価可能な損害に対応するとされています。
ICJは、気候変動によって引き起こされた重大な被害について、1つ又は複数の国家の違法行為と結果として生じた損害との間に十分直接かつ確実な因果関係が立証される場合には、気候変動によって引き起こされた重大な損害に対して賠償義務が生じるかを検討することは、本意見の範囲内であるとしています30。
(ウ)満足
国家又は複数の国家が温室効果ガスの排出に関する義務に違反した場合、その違反に対して満足が与えられるかどうか、及びその満足の形態は、違反の性質と状況に依存し、満足の形態としては、遺憾の表明、正式な謝罪、公的な承認若しくは声明、又は気候変動に関する社会の教育などが考えられるとされています31。
Ⅳ. 本勧告的意見の影響・評価
以上のように、本勧告的意見は、国際法上、気候変動対策に関する条約等に加盟していない国家も含めすべての国家が気候変動対策を執る義務を有することを認め、その義務を怠った国家に対して国際法上の責任が生じるという見解を初めて示したものです。本勧告的意見はあくまで法的拘束力を持つものではないものの、国際司法裁判所が初めて気候変動に関する国家の責任を認めたものとして各国の実務に大きな影響を与える可能性があります。
世界各国で発生している気候変動訴訟において、政府の気候変動対策が不十分であることを訴えるにあたって、パリ協定の長期目標(世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)32が根拠とされることが多かったものの、これまではパリ協定の法的性質が曖昧だったため、政府の法的責任を問うことが困難であるという指摘がありました。しかし、本勧告的意見においてパリ協定の長期目標が法的拘束力のある目標と認定されたほか、各国の排出削減目標がかかる目標を達成するために「十分な貢献を可能にするもの(adequate contribution)」である必要があるとされており、今後の気候変動訴訟において国家・政府の不作為に関する責任を問うにあたって法的根拠及び明確な基準が提示されたものといえます。これにより、本勧告的意見が今後の気候変動訴訟において国家の責任を問おうとする原告の主張をより強固に基礎づける根拠として用いられ得るほか、訴訟の数も増加する可能性があるとされます33。なお、気候変動訴訟の被告になった場合、金融機関からの借入れ条件が不利になるという統計も存在するため、気候変動訴訟の数が増えることは国家のみならず民間企業にとっても大きな影響を及ぼし得るものと考えられます34。加えて、今後各国の国内法において気候変動対策に係る立法がなされる場合、本勧告的意見が参照される可能性も考えられます。
本勧告的意見は、歴史的に見れば温室効果ガスの排出は経済的に豊かな国家によって行われたものであることを指摘した上で、これらの国家が率先して対応にあたるべきであるとされています。いわゆる先進国といわれる国々は産業革命以降温室効果ガスを大量に排出してきており、諸島部の国々、発展途上国の国々等にそのしわ寄せが来ているとされます。本勧告的意見により小島嶼国や途上国が気候交渉で法的正当性を確保しやすくなり、歴史的責任に基づく補償要求にも理論的根拠を有することになったものと評価されています35。
このように、本勧告的意見は気候変動に係る国家の義務をすべての国に認めているものの、気候変動に関する国家の損害賠償責任を追及するにあたっては、これまでの国家責任に関する国際法的な考え方と同様に、特定の国家に帰属する行為と特定の損害の間に「十分直接かつ確実な(sufficiently direct and certain)」因果関係が存在することを原告側が立証する必要があるものとされており、国家の損害賠償責任を無限定に認めているものではありません。また、気候変動訴訟においては、国家に帰属する様々な行為と様々な結果の関係を示す必要が生じ得る上、気候変動の性質上不確実な要素も介在し得る他、未だ先例が豊富に存在するものではないため、気候変動と国家の作為又は不作為との因果関係の立証は容易ではなく、今後の課題と考えられます。
さらに、今年、米国においてパリ協定を脱退する手続が取られたほか、環境保護局(EPA)が温室効果ガスは人間の健康と福祉に対して危険をもたらすと公式に認定した判断、いわゆる「危険性認定」を取り消す提案が発表されたとの報道があります36。この提案が実現すれば、米国内における温室効果ガスに関する全ての規制が法的根拠を失うことになるため、温暖化対策の流れに大打撃を与えかねないことが懸念されるなど、世界の大国である米国において、本勧告的意見に逆行する動きも生じており、今後の動きに注目が必要です。
最後になりますが、本勧告的意見の末尾には、下記のような一節があります。
…the questions posed by the General Assembly represent more than a legal problem: they concern an existential problem of planetary proportions that imperils all forms of life and the very health of our planet. International law, whose authority has been invoked by the General Assembly, has an important but ultimately limited role in resolving this problem. A complete solution to this daunting, and self-inflicted, problem requires the contribution of all fields of human knowledge, whether law, science, economics or any other. Above all, a lasting and satisfactory solution requires human will and wisdom — at the individual, social and political levels — to change our habits, comforts and current way of life in order to secure a future for ourselves and those who are yet to come. Through this Opinion, the Court participates in the activities of the United Nations and the international community represented in that body, with the hope that its conclusions will allow the law to inform and guide social and political action to address the ongoing climate crisis.
総会が提示した問いは単なる法的問題を超えるものであり、もはやあらゆる生命形態と健全な地球を危機にさらす地球規模の存在的課題に関わるものである。国際法は総会によってその権威を有しており、この問題の解決に重要な役割を果たすが、最終的にはその機能には限界がある。
この重大かつ人類自らが引き起こした問題に完全に対処するためには、法学、自然科学、経済学をはじめ、人類の知の総体を結集することが求められる。とりわけ、持続的かつ満足のいく解決には、個人・社会・政治レベルにおける人間の意志と叡智が求められる。将来の世代と自らのために、私たちの習慣、快適さ、現在の生活様式を改める覚悟が必要である。
本勧告的意見を通じ、裁判所は国連及び国際社会の活動に関与していくものであり、その結論が、進行する気候危機に対処するため、法が社会的・政治的行動を導き支える助けとなることを希求するものである。
本勧告的意見は、ICJが司法機関として気候変動という重大かつ困難な問題に正面から取り組み、その対策という点では法が万能の手段ではないことを認めつつ、人類一丸となり、あらゆる分野の知識を総動員して立ち向かっていくべきであることをあらためて強く自認し、これを国際社会に表明したものといえます。世界各国がこのメッセージを受け、気候変動という問題に対してどのように立ち向かっていくのか、今後の世界の動きを引き続き注視する必要があります。
- Advisory Opinion of 23 July 2025(英文)、Avis consultatif du 23 juillet 2025(仏文)
- 国際司法裁判所が勧告的意見“各国が気候変動対策の義務負う” | NHK | 環境
- 国際司法裁判所:「各国には排出量を削減し、気候を守る法的義務がある」(UN News 記事・日本語訳) | 国連広報センター
- 本勧告的意見Ⅳ.A.1.ないし6.
- 本勧告的意見Ⅳ.A.7. 「持続可能な発展」の原則、「共通だが差異のある責任及びそれぞれの能力」の原則、衡平法原則、「世代間衡平」の原則、予防原則といったものが挙げられています。
- 本勧告的意見Ⅳ.B.
- 本勧告的意見Ⅳ.C.
- 本勧告的意見Ⅳ.D.
- 本勧告的意見Ⅳ.E.
- 本勧告的意見Ⅳ.F.
- 国連気候変動枠組条約、京都議定書、パリ協定は相互に矛盾するものではなく、京都議定書とパリ協定が国連気候変動枠組条約に規定された一般的な義務を具体化するものであるとされています(本勧告的意見Ⅳ.B.2.)。
- 本勧告的意見Ⅳ.B.3.
- 本勧告的意見Ⅳ.B.4.
- 本勧告的意見Ⅳ.B.5. なお、国内緩和措置を推進する義務の遵守については、国内緩和措置の実施(民間主体による活動を含む。)において、相当の注意を払ったか否かに基づいて評価されるべきであると指摘されています。
- 本勧告的意見Ⅳ.C.1. なお、防止義務が発生する前提となる、環境への重大な損害が生じるリスクについては、リスクと損害の程度を総合的に評価することなどを通じて判断されるべきであるとされています。また、防止義務の履行において、国家は相当の注意をもって行動しなければならないとされています。
- 本勧告的意見Ⅳ.C.3.
- 本勧告的意見Ⅳ.D.2.及び3.並びにF.3. 等
- 本勧告的意見Ⅳ.C.2.
- 本勧告的意見Ⅴ.A.
- 本勧告的意見Ⅴ.B.1.
- 本勧告的意見Ⅴ.B.1.
- 本勧告的意見Ⅴ.B.2.
- 本勧告的意見Ⅴ.B.3.
- 本勧告的意見Ⅴ.C.
- 本勧告的意見Ⅴ.C.1.
- 本勧告的意見Ⅴ.C.2.
- 本勧告的意見Ⅴ.C.3.
- 完全な賠償を行う義務については、国家責任条文(Responsibility of States for Internationally Wrongful Acts (2001))31条が言及されています。
- 本勧告的意見Ⅴ.C.3.(a)
- 本勧告的意見Ⅴ.C.3.(b)
- 本勧告的意見Ⅴ.C.3.(c)
- 今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|広報特集|資源エネルギー庁
- 法の支配に基づく新たな気候変動対策時代の幕開け —国際司法裁判所の勧告的意見を読み解く|コラム|国立環境研究所 社会システム領域
- The impact of climate litigation risk on firms' cost of bank loans
- Top UN court says treaties compel wealthy nations to curb global warming | Reuters
- 米政府が温室効果ガス「危険性認定」取り消し提案、温暖化対策に大打撃も | ロイター